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西「青柳さんトスあげて!」

青「また?
最近多いなぁ、5本だけね」


そう呆れながらも、彼女はトスを上げる。

普通の、といっても無回転の上質なトス。

5本上げ切って、有志が満足するわけがなく


西「もう3本!」

青「話が違う」

西「お願い!」

青「約束は約束」

石「有志、青柳さん困ってるから」

西「え、それ祐希さんが言いますー?」

石「...は?」

「ぷっ...」


吹き出す声が聞こえた。

声の主は、マサさん。

マサさんは肩を震わせて笑っていて、青柳さんはその横で気まずそうに立っている。


柳「そうだよねぇ、誰が一番困らせてるのかな青柳さん」

青「言いたい事は分かりますけど、私に聞かないでくれません?」

石「何なの二人とも」








大阪大会の最終戦、イタリアに勝利。

それをベンチ外で見ていた俺の後ろで、青柳さんが試合のデータをまとめていた。


青「...行かないんですか?みんなの所」


怪我でベンチ入りすらしてないと、行きづらかった。
それを見透かされたようで、無視した。


コートから有志が手を振ってくる。


青「しょうがないなぁ」

石「え」


青柳さんがパソコンを閉じて立ち上がる。


青「私が行くんだから、あなたも行くでしょ」


勝ったんだから、と笑った。

太志が前言ってた、試合に勝つと見せる笑顔。

今まで見てきた微笑や、所々で見せるそれとは違う。


心の底から笑うと、目が細くなって意外と幼い。
初めて見た。


石「ま、待って」

青「待たなーい」





再びチームは海の向こうに飛び立って、俺にはトレーニングの日々が戻ってきた。


青「腰そらさない」

石「わかって、ます...!」

青「出来てないから言ってるんですけど」

石「うざ」


ウェイトで小さな口喧嘩は当たり前になって


青「早く始めますよ」


コート練習では彼女の方が早くアップするようになった。


石「今日は...適当に上げてください。
いつもあの二人のトスが来るわけじゃないし」


そのオーダーで、どんなトスが来るか興味があった。


青柳さんは、一本目を高く放った。


思ったタイミングで、ボールが落ちてこない。
引っ張られる、不思議な感覚。

空中で息を止めて踏ん張る。


石「ッ!!」

青「340......
最高点には届かんかー」

石「何、今の」


練習でも試合でも、毎回最高到達点で打てるわけではない。
でも、今のはそれを引き出された感覚がした。

ここで、打ってみろと。


石「...気持ち悪い」

青「は!?」


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松野(プロフ) - s_yumeさん» うわぁ分かってくれる方いて嬉しいです!結構前なんで(笑)唐突な告白ありがとうございます! (2020年4月13日 20時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
s_yume - 酷いいたずらされてる!ひこさんのやつですね!?作者様好きです←唐突な告白 これからも頑張って下さい! (2020年4月13日 17時) (レス) id: b6e7e349fb (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あさちゃんさん» ありがとうございます! (2020年4月12日 15時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
あさちゃん(プロフ) - 今作もとても面白いです!楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年4月10日 22時) (レス) id: f598d558dd (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!妄想が突っ走っちゃうので読みにくくならないようにと頑張ってます、、、笑 (2020年4月8日 17時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松野 | 作成日時:2020年3月25日 0時

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