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Side Ishikawa.
できるんですか?と聞くと、青柳さんは頷いた。
青「よく見てればできますよ。
ハンドリング意識して」
できねぇよ。
思わず突っ込むところだった。
青「藤井さんのトスも、ちょっと自分とプレースタイルが似てたから、同じように上げれます。
...誰もここでミドルとは思わんやろってタイミングで速攻使うのは、私も好きだったなぁ」
横顔でよく見えないけど。
──好き"だった"
その言葉に、湧くのは罪悪感。
あの夜、俺が言った言葉に、
彼女は一瞬傷ついた顔をした。
それでも、また何もなかったように俺を見上げてきた。
青「あと5本にしましょうか」
石「あ、はい」
"絶対に謝れよ"
そうマサさんに言われて、行動に移せないまま時間だけが過ぎる。
青「はい、あ、こっちは順調です。
問題もなく......え?お土産ですか?笑」
青柳さんは電話しながら時折小さく笑う。
少し前にも一人でスマホを見ながら笑っていた。
そんな所を見たのは初めてで、思わず話しかけてしまった。
結局何に笑ったのか分からないまま、だけど。
青「じゃあ、10分休憩で」
その一声で、一気に体の力が抜ける。
ウェイトトレーニングの今日。
負荷を増やしたので、いつもの倍キツい。
一度トレーニング室から出ようとすると
青「...あ」
床に置かれたままだったバーベルにつまづいて、青柳さんの体が揺れた。
その方向には別のマシンが──
石「あっぶな!」
腕を伸ばしてその体を受け止めると、
予想よりも軽くて、少し驚いた。
間近で、目が合う。
見開いた目は大きく、黒目に自分が写っていた。
青「ごめん、なさい...」
石「...気を付けて」
弾けるように体を離して、彼女は片付け始めた。
俺も、もう一度外に出ようとすると
青「あ、石川さん」
振り向くと、置いていた俺のジャージが渡される。
青「体冷やして風邪ひかないように」
無表情のまま言う。
"風邪ひきますよ"
記憶が引っ張り出された。
青「石川さん?」
石「え」
青「どうしました?」
石「...何でも、ないっす」
ネーションズリーグ大阪大会。
少しずつ調子が戻り、帰国したチームの練習にも加わる事が出来た。
関「もっと合わないかと思ったら、そんな事なかったな」
関田さんにそう言われ、心の中で思う。
それは、関田・藤井再現マシーンがいたからです。
あれから何度か練習して、その度に彼女は二人のセッターのトスを上げた。
正直、正確すぎて怖かった。
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松野(プロフ) - s_yumeさん» うわぁ分かってくれる方いて嬉しいです!結構前なんで(笑)唐突な告白ありがとうございます! (2020年4月13日 20時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
s_yume - 酷いいたずらされてる!ひこさんのやつですね!?作者様好きです←唐突な告白 これからも頑張って下さい! (2020年4月13日 17時) (レス) id: b6e7e349fb (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あさちゃんさん» ありがとうございます! (2020年4月12日 15時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
あさちゃん(プロフ) - 今作もとても面白いです!楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年4月10日 22時) (レス) id: f598d558dd (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!妄想が突っ走っちゃうので読みにくくならないようにと頑張ってます、、、笑 (2020年4月8日 17時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松野 | 作成日時:2020年3月25日 0時