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朝食時、青柳さんがそばに立って見下ろしてきた。
その視線の先には、皿に残ったトマト。
祐希のだ。
祐希もじろりと見上げて、二人は無言で見合った後に同時に顔を背けた。
柳「食えよ」
石「分かってるよ」
トマトを口に放り込んで嫌そうに飲み込んだ。
山「今日のアップ担当、Aか」
山内が呟いて、ゲンナリしているのはパナソニックのメンバーだ。福澤さんまでが。
大「朝飯、ほどほどにしとこう」
福「せやなぁ」
理由が分かった。
青「膝は胸まで付けて飛ぶ!怠けんな!
やり直し!」
やり直しという単語、もう何回目ですか?
青柳さんの合図で動き回るトレーニングで、彼女の怒号が飛ぶ。
くそ、俺も朝飯軽めにすべきだったかもしれない。
軍隊かよ...
いや、だから軍曹か。
そんな事に気付いても全然笑えなかった。
笑ったら呼吸困難で死ぬ。
てか笑わなくてもそろそろ死ぬ...
青「...ストップ、じゃあ一旦休憩」
突然終わりが告げられた。
やっと、終わった...
青「石川さん、調子...」
青柳さんが呟いた。
柳「...え?」
青「いや、別に」
祐希の、調子?
当の本人はキツそうにしながら、有志と話していた。
しかし、翌々日の練習で、祐希が呼ばれた。
結果、祐希の膝の悪化が分かり、VNLを欠場する事になった。
そして更に最悪な事に...
その日の夜、
ホテルの廊下に青柳さんと祐希が立っていた。
石「ふざけんなよ」
...え?
まずい事が起きてると察知して駆け寄る。
石「あんたが余計な事言ったから」
柳「何やってんだ」
石「マサさんは黙ってて」
柳「青柳さんは悪くねぇだろ」
青柳さんが言う。
青「それ、他のトレーナーにも言えますか?
私が女だから言ってませんか?」
怒りを押し殺した、そんな声色だ。
青「余計な事でかまいません。
私に言って気が済むならどうぞ。
使えないって判断したのは私じゃないですけどね」
祐希は彼女を睨みつけた。
石「自分が怪我したから言ってんの?」
青「は?」
石「自分と重ねてんじゃないの?」
柳「やめろって!!」
ここまで熱くなるのも
祐希は、去年も怪我で悔しい思いをしたから。
でもそれは彼女にあたっていい理由にならない。
石「...くそっ」
祐希は俺の手を振り払って去っていった。
柳「青柳さん...!」
振り向いた時には、
彼女は自分の部屋に入ってしまっていた。
柳「......最悪だ」
これがキャプテン一年目、前途多難のスタート。
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松野(プロフ) - s_yumeさん» うわぁ分かってくれる方いて嬉しいです!結構前なんで(笑)唐突な告白ありがとうございます! (2020年4月13日 20時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
s_yume - 酷いいたずらされてる!ひこさんのやつですね!?作者様好きです←唐突な告白 これからも頑張って下さい! (2020年4月13日 17時) (レス) id: b6e7e349fb (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あさちゃんさん» ありがとうございます! (2020年4月12日 15時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
あさちゃん(プロフ) - 今作もとても面白いです!楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年4月10日 22時) (レス) id: f598d558dd (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!妄想が突っ走っちゃうので読みにくくならないようにと頑張ってます、、、笑 (2020年4月8日 17時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松野 | 作成日時:2020年3月25日 0時