#10 ページ19
▽
Side Aoyagi.
世界選手権が始まり
あまり調子が良いとは言えない試合が続いていた。
青「じゃあ、太腿とふくらはぎのストレッチを入念に」
高「サンキュ。
遅くに悪かった」
青「いーよ。
これで明日は大活躍だね」
高「わぁったよ」
夜に太志とアキさんのマッサージを頼まれ、最後に滑り込みで健太郎のマッサージを終えた。
中々勝利出来ず、怪我人も続出していて
息が詰まる、そんな感覚が拭えない。
思わず一人でも溜息が出るし、肩も凝る。
柳「お疲れですか、軍曹」
青「げ、マサさん...あ」
普段私は「柳田さん」と呼ぶのに
皆が「マサさん、マサさん」と呼んでるからうっかり呼んでしまった。
柳「別に良いよ、何と呼んでも。
にしても、「げっ」は酷いでしょ笑」
青「すみません。
こんな所を見られるとは思わなくて」
柳「これ、渡そうと思って」
青「...これ」
差し出されたのは青いタオル。
東海時代、同期で揃えたタオルだ。
チームのスローガンが入ったもので、
確かに私のだ。
でも、
これが今ここにある事自体、
私にとっては驚きだった。
柳「忘れ物でしょ？
太志が青柳さんのだって言ってたから」
青「え、あ、そうです。
私のです。
これ、どこで」
柳「今日のロッカールーム。
じゃあそれだけ、おやすみ」
青「お、おやすみなさい」
これが、ここにあるという事は、
彼はずっとこれを持っていたと言う事だ。
一体何で。
その事が頭の中を巡って、
しまいには夢に出てきた。
──遠くで響く、ボールと笛の音。
そこは全日本インカレの会場で
私は一人で迷っていた。
そんな時に見かけた、一人蹲る選手。
紺色のユニフォームは一目で中央大だと分かる。
大学バレー界で名実ともにナンバーワン。
そんな選手が、一人静かに泣いてる姿はあまりにも衝撃的だった。
そうか、負けたのか。
別に知り合いでも何でもない。
でも、冬場に、汗の乾かないままユニフォーム姿でいる彼が気になって。
かといって自分のジャケットという訳にもいかないし。
青「風邪ひきますよ」
一言だけかけて、私はそのタオルを彼の背にかけた。
気持ち程度だったし、不審者とも思われたくなかったのでさっさと逃げた。
3位決定戦で、
明日、彼が全力で戦えますように。
あの時、そう心の中で祈った。
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松野(プロフ) - s_yumeさん» うわぁ分かってくれる方いて嬉しいです！結構前なんで（笑）唐突な告白ありがとうございます！ (2020年4月13日 20時) (
レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
s_yume - 酷いいたずらされてる！ひこさんのやつですね！？作者様好きです←唐突な告白 これからも頑張って下さい！ (2020年4月13日 17時) (レス) id: b6e7e349fb (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あさちゃんさん» ありがとうございます！ (2020年4月12日 15時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
あさちゃん(プロフ) - 今作もとても面白いです！楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年4月10日 22時) (レス) id: f598d558dd (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます！妄想が突っ走っちゃうので読みにくくならないようにと頑張ってます、、、笑 (2020年4月8日 17時) (レス) id: 4c9b05278b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：松野 | 作成日時：2020年3月25日 0時
