女神が鉄仮面を外さない

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夕食後は太志さんと祐希さんの部屋に集まった。

太志さん、祐希さん、関田さん、藤井さん、健太郎さんがいる中。

Aさんが、


青「集まるなら何か遊ぶかなーと思って」


トランプを持ってやってきた。

この前もやけど、何でこんなの持ってきてるんやろ。


石「子供かよ」

青「え、何でいる」

石「俺の部屋だから」


そのまま、無言のババ抜き大会が始まる。


石「誰か喋ってよ笑」

藤「真剣すぎ笑」

西「あ、俺あがりー！」

関「じゃあ一位の有志が話題決めて」

西「そんなルールやったっけ！？」


話題、話題...

隣に座るAさんが目に入る。


西「恋バナ！好きなタイプとかでも可！」

石「ふざけんなよ！」

関「まじでー？」

藤「おーおー、なるほどね」

青「え、何て？聞いてなかった。
バナナのタイプ？」

小「ちげぇ笑」


嫌がる祐希さんと関田さん。
ニヤニヤしてる藤井さん。

これで、Aさんの好みが聞き出せるやん？俺天才やん？


高「俺とAの話は」
小「もはや恋バナの域超えてネタじゃん」

西「じゃー、Aさん好きなタイプは？」

青「ご指名すか。
そうだなぁ...んー男らしい人？やっぱりアスリートかなぁ。この世界にいたらそれは外せないかも」


ほうほう...ってそんなん身近にいっぱいおるやん！
何の参考にもならん！


関「俺？」

青「何でやねん。
人って言ってる。ゴリラじゃない」

関「おま、先輩やぞ」

青「あ、あがりー。
じゃーあー」

関「無視か」


Aさんがターゲットを絞る。


青「石川祐希の恋バナとか聞きたいな」

石「ない、以上」

小「秒殺w」

石「あがり...じゃあ藤井さんの恋バナ」


祐希さん責任放棄。


藤「俺かよー...そうだなぁ」


藤井さんの、新鮮！
Aさんの話から外れてもうたけど、まあええわ。


藤「大学の時だね」


懐かしむように笑った。


藤「見に行った春高でたまたま目にした選手がいてね。

負けてるのに、笑顔を絶やさない子で。

本当にバレーが好きなんだなって思ったら、ずっと見てたくなって。気付いたら、ね」

西「一目惚れや...」


藤井さんの視線が、俺の隣に一瞬だけ向いた。


あれ...？


高「今、その子は？」

藤「...さぁね」


石「バレー、続けてるといいですね」


祐希さんがふと呟いた。


藤「そうだね。
俺は、その子のおかげでバレー続けて来れたようなもんだから」

青「へぇー」


感心するAさんに笑いかける表情が、本当に嬉しそうで、

俺は少し、この話を振った事を後悔した。


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