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コート上でクールダウンを開始する選手達。全日本の先輩達は、特にマサさん、祐希への声掛けを念入りにしているようにも見えた。
花「心ここにあらずって感じ、ですね」
関「勝てる試合だったからな」
後半増えたミス。
特に二人のミスは、会場からのため息も多い。
それがどれだけプレッシャーになるか。
期待を背負う者の使命とも言える。
それが今は少しだけ分かる。
関「帰るか。スタバ行って帰ろうぜ」
花「関田さんがスタバって意外です」
選手達の背中を見送り、会場を後にした。
花「秋季リーグに、天皇杯に、インカレ...こっから大忙しですね。関田さんも最後だし」
関「まずは秋季リーグで天皇杯決めて...インカレに至っては連覇かかってるからな」
花「関田さんの引退伸ばしてもらわないと〜」
そうだな、と笑う関田さんは店員さんから季節のフラペチーノを受け取る。やばい、可愛すぎて笑う。写真撮っておこう。
関「何で」
花「いや可愛くてつい」
写真を確認したタイミングでLINEが来てることに気づいた。
柳田将洋勝つとこ見せたかった。サーブもミスったし
もう帰りのバスだろうか。
相当落ち込んでると感じた。
A切り替えて、最後は勝って終わりましょう!
Aと、この人も言ってます
先程の写真を送ってあげる。
柳田将洋普通にデートしてんじゃねーよ
A可愛いでしょ
切り替えはできているみたいだし、明日のロシア戦は大丈夫のようだ。
しっかり休んでください、と返信すると、ネズミのスタンプが。以前関田さんと私が教えたスタンプをマサさんもダウンロードしたようで、ちょっと笑えた。
祐希にも連絡しておくか。
Aお疲れ様。明日まで頑張れ。
関「俺、Vリーグに行くつもりなんだよね」
花「ほええ...」
関「何その反応」
花「なんか、うん、そうですよね。それ以外が想像できなくて。お似合いです」
そう言うと、関田さんは弾けたように笑った。
関「なんかやっていける気がしてきたわ」
花「やれますよ。そして早く日本代表に」
関「そうだなー!刺激受けたし、早くあの舞台立ちてー!」
帰り道、駅から外に出ると少しだけ雨が降っていた。
傘持ってないや。
LINEが鳴る。
石川祐希頑張る。雨降ってるから気をつけて。
祐希も外にいるのだろうか。
カバンを頭に乗せて、私は走り出した。
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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月16日 21時