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#56 ページ7


Side You.

個人的に山場だったアメリカ戦。
結果は1-3で敗戦。

二セット目をベンチで過ごし、コートに戻った三、四セットは流れをこちらに持ってくることが出来なかった。疲労は言い訳にならない、ここに来て体力の無さが露呈した。

そして勝って終わろうと意気込んだ最終日の中国戦。
勢いに乗れた場面もあったものの、試合は中国のペースで運ばれ、敗戦した。

今大会結果は五位、狙っていたメダルには届かず。

"そして今大会が初めてのワールドカップという花井Aがベストサーバーランキング一位、合わせてセカンドベストアウトサイドスパイカー賞を獲得です!"

『初めてのワールドカップで受賞って光栄なことなのに、全然嬉しくなさそうね』

セルビアのブランキツァ選手に笑われた。
彼女はファーストベストアウトサイドスパイカー賞、すなわち今大会の世界一のスパイカーに選ばれた。

花「喜ぶのは、試合に勝って、あなたにも勝ってからだね」

『また戦える日を楽しみにしてるわ。早くここの勲章も治してね』

そう言って額の絆創膏を指す。
ありがとう、と笑って抱き合った。




大会後の記者会見に私も参加することに。
聞かれることは大体分かっていた。

"花井選手、今後の活動の舞台についてはもうお決まりでしょうか"

監督に目配せし、マイクを手に取った。

花「えー...決まってないです。ただ一つ言えるのは、大学を辞めてプロに転向する、そう言った考えは全くありません」

噂を聞いて予想していた記者の方達は少し騒つく。

花「私がこうやって日本代表に選ばれたきっかけも、今こうして頑張れたことも大学の監督コーチやチームメイト、関係者の方々のおかげです。そこから離れるという考えは毛頭ありません」

"再び短期間の留学ということでしょうか"

花「はい。その考えではあります。しかしまだ契約も固まっていないですし、また時期が来たら...まずはワールドカップの反省をし、大学でのバレーに専念します」

その後も質問が寄せられたが、スタッフに止めてもらい、無事会見を終えた。





私は日常に戻りつつも、すぐに男子のワールドカップが開幕し、随時自然と結果は耳に入ってきていた。

今ところ良い状態とは言えなかった。
現時点での順位も上位は例年のまま。
強豪国からの勝利がなければ挽回も厳しそうだ。

男子の東京大会が始まろうとしていた頃。

関田誠大明日って暇?

関田誠大良かったら明日の試合観に行かない?


.

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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月16日 21時

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