Flowerwall-2- (ページ36)

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『A！はいこれあなた宛の！』

アパートを出る際、大家のハンナさんから封筒を手渡される。

花「Grazie、ハンナさん」

『珍しいわね、手紙なんて。今時全部スマホで済むからねー』

花「これ、手紙じゃなくて試合のチケットだよ」

チケット？と彼女は首を傾げる。
今度日本に一度帰って見に行く試合だと教える。

『一度でいいから行ってみたいわー日本に。京都がいいんでしょ？』

花「今のシーズンなら京都はおすすめだよ」

『紅葉ね！』

『ラウンド9蹴ってまで日本に行くの？』

花「まあ、そうよね。そう言われるのは分かってたわ」

『どうするのこれでスタメン取られたら！そこまでして行くの！？』

試合前に一緒に昼食を取るチームメイトのカミラに睨まれる。

花「スタメンは実力があれば取れる。でも今回は見逃せば二度とない。目に焼き付けておきたいの」

『...本当に』

何言っても無駄だわ、と呟きながら彼女はランチを頬張った。

花「迷惑かける分、今日は頑張るから...トスたくさん頂戴ね」

『へばって泣き言言ったって容赦しないからね』

"ノヴァーラのハナイは実に良いパフォーマーだ。
どんなシーンでも自分のものにする...そう今だって"

続くラリー、ボールは乱れテンポは良くなかった。
そんな中、カミラはレフトへと高くトスを上げた。

高いトスは、スパイカーの選択肢を広げる。そしてチームのテンポを整える。

"ハナイ決めたぁぁ！どうなってるんだ彼女は今ストレートに向いていた！ノールックだ！"

ストレートにブロック二枚を引きつけ、空いたレフトへ腕を切る。ボールは鋭角に、触れられずに決まった。

『今のクロス最高！』

花「言ったでしょ今日は頑張るって」

肩を抱いてきたカミラにウインクする。

次はアレをしようとサインを出す。

"ハナイが走りこんで、ブロードだ！これは通常ミドルの攻撃！それをレフトからハナイが決めた！ブロッカーもついていけない！"

忍者コールが始まる。
どの国に行っても日本人の扱いはそうなのだろうか。

互角にやり合っているカザル戦は、フルセットで勝利し、私はセリエAに来て初めてMVPを受け取った。

これで日本に心置きなく行ける。

スケジュール的に見れるのは最終日のみ。
大丈夫、きっと彼らは最後までコートに立っているはず。

『で、一体何しに行くの？』

花『んー、ライバル？相棒？
まぁ、そんな人の区切りになる試合があるの』

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