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#53 ページ4



すかさず交代のオーダーが出され、紗理那がコートへ。

古「大丈夫ですか?」
花「大したことないよ。お願い」

すぐにアリーナを出て応急処置を受ける。
幸い傷は浅く出血はすぐに止まった。

その他も打撲のみで、異常なし。
額を打って出血はあるものの、頭部への影響もなし。
何かあればすぐに申告すること。
付き添いのドクターから判断が出て、戻った頃には13-12でリード。しかしまたもやブライエリンに決められ同点に。

「ハナ、行けるか?」

監督の言葉に頷く。
チェンジのブザーが鳴ると、少しだけ歓声が大きくなった気がした。
紗理那と肩を叩き合って、コートへ。
ハイタッチを交わし、最後に遥に手を握られる。

宮「待ってた」
花「昨日言ってたこと覚えてる?」

遥は少し笑って頷いた。相手サーブをコトさんがAパスで上げ、サオリさんのスパイクはクロスへ。

"ブレンダが拾う、そしてドミニカの高いバックアタック!!これを座安、体を張ってあげました!"

ボールは少し逸れてコート外へ。
遥がそれを追ってセットアップに入った。

コート中央を走り、踏み込んだ。
遥のトスの軌道は低め、ボールは私の到達点ドンピシャだった。練習してきた成果をここで発揮する、フルスイングだった。
遅れて相手ブロッカーの手が伸びる。触れさせない自信は充分にあった。

"宮下と花井の速攻バックアタックー!ノーブロックでコートに撃ち落としたー!日本、マッチポイント!!"

視界の端に男子が両手を上げている姿が見えた。
やるでしょ私も、とわざと笑いかける。

"宮下と花井、同級生コンビで日本を引っ張ります!"

"宮下選手も花井選手が入ってくると信じて上げたんでしょうね!普通じゃあり得ないですよ!"

そのまま迎えた最後の瞬間。
最後は乱れたレシーブから、私がトスアップに入りミユさんに上げた。ミユさんのスパイクは相手ブロックを抜けストレートに決まり、長い長い戦いを勝利で飾った。

体の心配をされ、インタビューは軽く済ませてもらった。それでも退場の際には一段と大きい歓声をいただいたので、思わず笑って手を振って応えていた。

後方へと向かい、選手やスタッフとハイタッチを交わす。

古「本当、血見た時は気が気じゃなかった」

紗理那がそう言って涙ぐむもんだから、
大袈裟だと笑ってその肩を叩いた。

木「あの一点に救われたけど、あれで大会自体出れなくなったら元も子もないからね!」

周りを見て!とサオリさんには一喝され、気を付けますとしか言えなかった。


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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月16日 21時

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