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#63 ページ14



"やる事がとんでもないぞ"

花「すみません、私も恩があるので断りきれず」

まぁ、いいよと笑うのはマサさんだ。

"楽しみだな"

花「本当に。出来る事なら私も出たい...」

絶対に面白い試合になる事は間違いなかった。
羨ましい。

不意にスマホが誰かに奪われる。

石「休憩終わりなんで、じゃあねマサさん」

そう言って祐希が電話を勝手に切る。

石「天皇杯終わるまでマサさんと連絡取るの禁止。あなた、今俺らのチームのトレーナー」

花「そこまで...」

石「何?俺よりマサさんとるの?」

花「そういう事言ってんじゃない」

ゲーム形式での練習が開始。
サーブを打つのは私と、ピンチサーバーとして出場するメンバー。
ドライブを意識して打ったジャンプサーブは、祐希へ。彼はそれを正面で捉えた、でもボールはコート後ろへと逸れた。

石「あー!...マジか」

「花井さんのサーブ、相変わらず音がエグいっす」

花「簡単に取られたらいる意味ないしね。
祐希!今の一本弾いてるんじゃマサさんのは取れないよ!」

そう指差して祐希に言うと、悔しそうに頭を掻いていた。





「あんなサーブ打ってたら指も切れますよね」

花「冬場は酷いよね。テーピングないと厳しい」

練習が終わり、テーピングを外す。
指先がぱっくり割れてしまった。
座っている私に影が落ちる。

石「サーブ、見てほしい」
花「監督に許可とって」
石「とった」

ボールを弾ませながらセットにつく。
一本打ったサーブは、コート奥に決まる。

石「全カレの決勝のサーブ、ガッカリしたでしょ」
花「ミス多かった」
石「...うん」

だからじゃないけど、と続ける。

石「マサさんと戦うなら、サーブ負けたくない」

コートを見据えるその顔は、全日本の時とは違う表情に見えた。日本の為に、ではなく先輩の為に、己のプライドの為に。

花「熱いなぁ」

石「笑ってないでちゃんとアドバイスして」

花「じゃあトスから...」





それから打っては修正を繰り返し、祐希の体力もそろそろ限界になってきた。

花「...もう終わるよ」

石「...はーい」

そう言って祐希は玉のような汗を拭った。クールダウンをして、寮へ。

「あ、おっせぇ!花井さんこっち!こっちで食べましょう!」

そう言ってくれる選手達、空腹で待たせてしまった事を謝りながら、共に夕食を食べた。
その後は親睦を深める為に、人狼ゲームの流れに。

石「俺?俺、市民!市民だから!」

「怪しいっすよね!石川怪しい!」

花「次占うねぇ」

武「俺狩人なんで守りますね!」


.

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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月16日 21時

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