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宮「男子、二位だったってね」
東京大会での同室は同い年の宮下遥。
明日ついに東京最終日という夜、唐突に言われた。
花「...びっくりした。遥からその話振られるなんて」
宮「柳田さんと石川くんの怒涛のサービスエースだって。Aの影響じゃない?」
花「それはない。もともとサーブの名手だよ」
自己評価低いなぁと遥が笑う。
同い年で、お互い口数が多い方ではない。でもバレーのことで頭の中が忙しい。遥とは何かと共通点がある。この東京大会でリラックスできているのも、遥と波長の合った生活リズムで過ごせてるからだと思う。
花「明日のドミニカ戦さー」
結局今日も、バレーの話が止まらない。
"東京大会最終日、世界ランキング六位のドミニカとの対戦です。注目は世界一のリベロと言われるブレンダ、そして身長201cmそして最高到達点330cmのブライエリン。日本はこのブライエリンに荒木をぶつけます"
"リベロのブレンダ選手は本当に守備範囲が広く、中々決めさせてもらえないでしょうね。逆に、彼女を打破すればチャンスです"
相手サーブから始まり、見事ミユさんのスパイクでサイドアウト成功。
"日本のサーバー、一番手は初ワールドカップにして、現在ベストスコアラーランキング三位、そしてベストサーバーランキング一位である花井です"
ボールを受け取り、一度監督を見てサインを確認する。
そのまま定位置に行こうとした時、ベンチの後ろの席に、知った顔が見えた。
一本!と大きい声で叫んだのは高橋くん。
拍手を送るのは清水さん。
決めろ!と叫んだのは祐希。
何も言わず、一番真剣な目をしていたのはマサさん。
目に入ったのはほんの一瞬...
それでも、確実に力んだ。
深呼吸して構え、フルパワーで打ったサーブは、低く長く飛び、相手リベロは瞬時に避けた。
"エンドライン、ギリギリでアウト!...というジャッジですが、日本がチャレンジを要求します。この序盤にチャレンジを要求!"
六人コート上に集まって声を掛け合う。
宮「A...」
花「まじか...」
おかしいかもしれないけど、ミスったことに自分が一番驚いてる。
判定は...
"ライン上!日本、チャレンジ成功です!花井、今大会さらにサービスエース!!"
花「はぁー危なかった!!」
ビビるから!とミユさんに頭をぐしゃぐしゃにされる。
マサさんの前で外したら本当に格好がつかない。
ちょっとびっくりさせないでよ、と少しだけベンチ裏を睨む。祐希とマサさんは笑っていた。
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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月16日 21時