#38 ページ39
▽続き
世界で戦う新星は一体どんな大物なのか、と思いきや。
リ「花井選手、日本のテレビのインタビューは初めてとのことで」
「そうですね。テレビは、初めてです」
国内での実績がないという彼女。
そのまま海外挑戦という異色の経歴を持っている。
リ「始めはフィジカル面でかなり苦戦されたということですが、どのようにトレーニングを続けられてきたのでしょうか」
「トレーナーと一緒に、特に上半身の筋力トレーニング中心で...」
リ「聞いたところ、バーベルで潰されそうだったとか」
「そうですね...多少上がる自信があったんですけど、予想以上に重たくて」
リ「食生活にも変化があったそうですね」
「はい。今まであまり飲んでなかったプロテインやサプリメントも摂取して...栄養に関しての知識も少ないのでトレーナーに相談してなるべく自炊をするように...」
リ「オランダの食は合いましたか?」
「合わないわけではないんですけど、最初に家族にお米とか調味料とか送ってもらって、作るのは日本とあまり変わらない感じですね」
一月には、セッターとしてコートに立った花井。
その時の心境はー
「正直、不安でしかなくて。経験もなかったですし。チーム内のストレスが高まってしまった時期でした。乗り越えれたのはチームメイトのおかげです。それにセッターの視点を養うことによって、視野が広がってコートがよく見えるようになりました」
ややあどけなさの残る表情。
国内実績なしという経歴と、容姿端麗な姿から、ネットではバレーボールファンにこう呼ばれる。
リ「無冠の花、と」
「......複雑、ですね。認知してもらってるからなんでしょうけど。自分としては、無冠返上したいです」
リ「それは今年のワールドカップや、来年のリオオリンピックへの意気込みでしょうか」
「はい、世界一とりたいと思ってます...あ、すみません、まずはメンバーに選ばれます」
リ「全日本のメンバーからもかなり期待されてますね」
その言葉に、目に涙を浮かべるー
「......感謝しかないです。本当に環境に恵まれてここまで連れてきてもらったので。自分を拾っててくださった方々のおかげです」
取材後、我々にプレゼントをくれた。
「オランダもチョコレートが美味しいんです。遅めのバレンタインデーです。来てくださってありがとうございました」
その笑顔が、世界の舞台で咲く日を、我々は心待ちするしかないようだ。
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夏実(プロフ) - 実在する人物を題材としているのでオリジナルフラグを外しましょう (2019年11月10日 4時) (レス) id: caffb068cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月10日 2時