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三試合目、石川くんは交代して控えに。
すぐに私のところに来てタブレットを取り上げる。
「ちょ、マネージャーさんか誰か撮ってくれてるでしょ。そっち見なさいよ」
石「花井さんが参考用に撮った方が、俺の見たいところ撮れてますよね」
「自分勝手だわー」
石「あ、ここ」
「そん時、石川くんにトス集まったけど三本目で左手下がってたから打点も下がったと思う。ネット引っ掛けてたし。あと連続でトス来た時に助走サボりがち」
石「......めっちゃ見てる」
「見るよ」
試合に目を向けると、彼がブロックを決めた。
思わず「やった!」と声が漏れて拍手する。
目があって、向こうもやってやったぜと言うように笑った。
と思ったら目の前をタブレットに塞がれる。
石「試合中にイチャイチャしないでもらえます?」
「い、イチャイチャじゃない、讃え合ってるのよ」
石「返す」
タブレットを雑に渡され、彼はアップしに走って行った。
次の試合は、壮絶と言えるほどスパイク勝負になった。スパイカー陣の攻撃が冴え、攻めて攻める展開。
その中でもやはり際立つのが石川くん。
体の向きからストレートに打つかと思いきや、相手レフトの穴をつく超クロスに決まる。
あの肩の柔らかさは本当に羨ましい。
以前マサさんに言われた、体でではなく肩のみで引いて空中で素早くフォームを整える。それが最もできるのが石川くんだ。
そのせいか一人だけ空中で止まるように見える。ブロックが止まれず、その落ち際を上から叩き落とす。
それに感化されたのか、マサさんのスパイクも決定率がぐんぐん上がる。
ブロックが真正面についてもまんまとブロックアウトに利用され、ブロックを欺いてのバックアタックはコートのど真ん中を射抜いた。
サーブが回れば殺人サーブで連続エース。
途中石川くんがカットしようとして吹っ飛ばされるところは鳥肌が立った。
その試合は終始動画を撮りまくり、挙句の果てにバッテリーがなくなりかけてしまった。
「いやー...見応えあったな」
柳「そりゃどうも」
「交代ですか」
柳「ずっと出っ放しだったから」
汗びっしょりのマサさんはタオルを頭にかぶって隣に座る。
「そういえばここ、ちょっと助走おかしかったですけどどうかしたんですか?」
柳「あー...前少し足首捻挫して違和感あったからかな」
「え!ダメですよ無理しちゃ!冷やして!これ中央大のだけど、ええい借りましょう!」
柳「そんな勝手に!」
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夏実(プロフ) - 実在する人物を題材としているのでオリジナルフラグを外しましょう (2019年11月10日 4時) (レス) id: caffb068cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月10日 2時