Flowerwall (ページ37)

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#36 ページ37

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Side you.

石「おはよ」

朝起きて、誰かがおはようと言う。
久しぶりのその感覚に、一瞬まだ夢かと思った。

「早いね」

石「寝癖」

そう言って髪の毛をつまむ。

「なんか、祐希がいるの不思議な感じ」

石「俺も寝起きのAさん見るの初めてだから不思議」

彼は朝の便でイタリアへ。
途中カフェで朝食を済ませ、ロッテルダムの街並みをドライブしながら空港へと送った。

石「じゃあまた」

「来てくれてありがとう。気をつけて」

少し離れたところで祐希はまたこちらを向く。
手を振ると、少年のような笑顔で手を振り返した。

"まさか祐希がそっちに行ったとは"

マサさんの心底呆れた声に少し笑った。
こっちは昼、向こうは夜になりつつあった。

「いや本当に。今朝送ってきました」

"その......大丈夫だった？何か、その、祐希も男だし"

口籠る声に、何が言いたいのか察した。
男女が一つ屋根の下ということは、そういうことも心配されるわけだ。

「大丈夫ですよ。普通にご飯食べて、DVD見て、リビングで寝てもらって、でしたよ？」

"そう...じゃあいいや"

「何ですかじゃあって」

マサさんは大学卒業を控え、すでにVリーグ・サントリーサンバーズでの練習に参加している。
早ければ三月にでもVリーグデビューできる可能性もある、そのくらい期待が大きい。

"いつこっちに帰ってくるの"

「二月の終わりか三月頭ですね。あと一ヶ月ちょい」

"思ったよりも早い？それともまだまだ？"

「早い早い。まだスパイカーとしてスタメン取れたの少ないし、課題も解決できてないのにあと一ヶ月しかないんだなんて」

まだまだリザーブでの機会が多い。
それにフィジカル面での目標も、設定されたレベルに達していない。
何なら昨日の試合では「ブロックに飛んでる意味あるのかい」と言われてしまったし。

課題追加・ブロック。

「帰国したらマサさんの試合、見に行こうかな」

"おいで。待ってる。どこで出してもらえるかは分かんないけど"

「はい！絶対！どこへでも！」

"どこへでもって、無理すんなよ...じゃあ、今日オフだろ？しっかり休んで"

「はい。マサさんも」

二月。私が帰国するまで、あと試合は五回と迫っていた。

最初の試合はピンチサーバーとして出場し、勝利。
次はリザーブで出場なし、試合には負けた。

『次の試合、チームで一番得点を取りなさい』

三試合目を控えた練習で監督に言われた一言。
それは、スタメン起用とも言える言葉だった。

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