【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ7)

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十六ノ怪ー七儘ー（弐）ページ7

ヤ「晴齋が奉公人だった頃はさぁ、物怪庵の主は“アオイ”だったよね？今は晴齋が物怪庵の“主”なんだってね。最近ねー、妖怪たちが噂してるのを聞いたんだ。知らなかったよ、たった8年の間に主が代わってたなんて」

その瞬間、ヤヒコの雰囲気がいっきに変わる

ﾊﾟﾘｨﾝ

何かが割れる音がした

音がしたほうを見ると禅子が手首を押さえて蹲っていた

芦「禅子！」

私と芦屋くんで禅子のもとに駆けつける

近くに行くと、手首に煙が巻き付いていた

ヤ「晴齋は、Aは、昔のまんまだよね？」

その途端、ヤヒコの体が巨大化した

その直後に後ろで倒れる音がした

「禅子！」

芦「ちょ･･･禅子！大丈夫！？禅･･･っ」

貴「芦屋くん･･･！どうしたの！？」

芦「頭痛くて、気持ち悪い･･･です･･･」

今の２人にはヤヒコの気配には耐えられないのか･･･！

「蒼人！」

蒼「お呼びでしょうかお嬢」

「結界を」

蒼「はい」

ﾊﾟｧｧ

蒼人は禅子と芦屋くんの周りに結界を張る

芦「！気持ち悪･･･くない？」

貴「芦屋くん、大丈夫？一応その結界から出ないでね」

ヤ「晴齋、僕ねもう一つきみの噂を聞いたんだ。主の座が欲しくて自分の主(アオイ)を殺した･･･って、もう一人と結託したって････」

イツキの噂はなんとなく聞いてたけど

まさか私までそんな噂されてるなんてね

ヤ「奉公人のままじゃ嫌だったの？奉公人はつまらなかった？」

ヤ「主のほうがお得なこといっぱいあるもんね。隠世と現世の行き来も自由だし、どんな悪さをしたとしても罰を受けることもないし、妖怪からも“主殿”って呼ばれたりしてしかも稼げる仕事だしね♪」

イツキがヤヒコの鼻に手をのばす

安「羨ましいか？確かに物怪庵の主は特別だ。隠世での地位も名誉も与えられて羨ましがる妖怪(やつ)もいる」

安「けどな、俺からしたらそんなもの重荷でしかねぇよ。それに『俺が主になるためにAと結託してアオイを殺した』って？」

イツキが威光を使ってヤヒコの鼻を下に落としヤヒコをひれ伏せさせる