二十三ノ怪ー紫陽ー(肆) ページ36
芦「神山さん!タオル下さい!あと、温かいお茶を!」
お茶はイツキに任せ、私は物置にタオルを取りに行く
ズズッ
茶室に妖怪がお茶を啜る音が響く
妖「体がほっこりしてきたよう。雨の中を歩いていたら、うっかり水溜りに落ちてしまった」
ほっほっほと笑う妖怪
妖「安倍殿、神山殿、今日は晴れんらしいよ」
安「そうですか」
「こう、雨の日は気分がどんよりしてしまいます」
苦笑いしながら言うと、ほっほっほとまた笑われてしまった
妖怪は芦屋くんに気づき、自己紹介をする
翁「そういえば、芦屋殿と会うのは初めてだったね。我が名は"
芦「・・・え?!神様!?」
翁様の名前に驚く芦屋くん
翁「人間が"神"なんて大層な名を付けただけのただの老いた妖怪さ。気軽に"翁"とでも呼んでくれ」
物怪庵が社に祀られていることを芦屋くんに教える
芦「じゃあ翁様は現世にずっといるんですか?」
翁「我が儘を言って現世に残らせてもらってるよのう。社にいると時々ふらりと妖怪が訪ねてくるんだ」
翁様は散歩の時に会うことも付け加える
翁「そういう妖怪たちを物怪庵に頼んで祓ってもらってるんだ」
芦「へー」
翁「さて、それで本題なのだがね、安倍殿よ。社の近くで、御一方妖怪を待たせているんだ」
安「その方をお連れにならなかったということは何か事情がおありで?」
翁「まあ、この雨だからということもあるが・・・」
翁「あの子は目が・・・自力では見えないそうなんだ」
目が・・・・・・
安「翁殿、
翁「うん、妖怪から見える人間から妖怪を見る視力を貰うことで目が見えるようになるそうだ」
翁「ちょうど、安倍殿のような人間から・・・ね」
安「!」
翁様の言葉にイツキは眉間に皺を寄せる
「イツキ、顔」
翁「脅かしてすまない。そう睨まずとも大丈夫だよ。あの子も私も誰彼構わず視力を貰おうなんて思ってはいないよう」
安「・・・・・・失礼いたしました」
イツキは無意識だったのか手で口元を隠す
翁「それに、視力を貰うと言っても、2〜3日で元に戻ってしまう程度拝借するだけだそうだよ」
安「・・・では、その妖怪のいる場所まで案内をお願いできますか?」
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作者名:まるすけ。 | 作成日時:2020年2月18日 19時