【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ35)

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二十三ノ怪ー紫陽ー(参) ページ35

うん、と返す禅子だが、私たちには仲良くなっているようには見えない

ヤ「晴斎〜、僕、眠たくなってきちゃった。やっぱり今日は遊ばなくていいや」

それから、私たちはそれぞれ解散した

私はイツキと物怪庵で寛いでいた

安「A」

「ん？どうしたの？」

安「眠っていた時、本当に何を見たのか覚えてないのか？」

「うーん、思い出せないなぁ」

安「お前が寝てる時、泣いてたぞ」

「え？」

寝ている時に泣くなんて初めてのことだった

よっぽど辛い夢を見ていたのか

だったら、覚えているはずなのに･･････

私の頭は嫌な事ほどよく覚えているらしいから

「全然思い出せないや、何かもやがかかった気がする」

安「そうか。悪い。無理して思い出さなくていい」

「そう？わかった」

安「(ノボウ殿の走馬灯を見ていたわけじゃないのか･･･。だったらなんでAだけ･･････)」

とある雨の日、私とイツキは物怪庵の中で今回の依頼者を待っていた

ガラガラと扉が開くと、ヒョイっと芦屋くんが顔を見せた

芦「安倍さん？お客さんまだきてませんか？」

こそっと小声で話す芦屋くん

「芦屋くん、物怪庵は普通の人には見えないから普通に入ってきていいよ。じゃないと、ぱっと見不審者だよ」

前にも言ったような気がするんだけど･･･

芦「そうなの！？」

安「それより、お前また担任の手伝いで居残りになったんじゃねぇのか？」

芦「それならフッシーとサガに代わってもらいました！」

芦屋くんは物怪庵にお客さんが来ていないことを教えてもらい、ほっと息を吐く

芦「フッシーの傘、登校中にビニールが吹き飛んだらしくて、俺の傘をレンタルする代わりにプリントのコピーを代わってくれるって言ってくれまして」

おそらく嵯峨くんは伏見くんに巻き込まれたのだろう

なぜか容易に想像できる

安「傘貸したって･･･？お前、帰りはどうすんだよ」

芦「だから帰りは家まで送って欲しいなー、物怪庵ー」

芦屋くんは掛け軸を見て物怪庵の返事を待つ

モ「オッケーよ♪一回百怨ね」

芦「料金発生するんだ！？」

芦屋くんが驚き、それに冗談よ、と返す物怪庵

しばらく待っていると物怪庵がリンリンと風鈴を鳴らした

モ「お客様よ、お出迎えお願い」

芦屋くんが躙口を開ける

そこにはずぶ濡れの妖怪がいた