【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ32)

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二十二ノ怪ー木偶ー(参) ページ32

-No side-

煙の中からA背負った安倍と芦屋が出てくる

禅「Aどうしたの？」

安「色々あってな。気絶してるだけだ」

安倍はモジャモジャにもたれかけるようにAを寝かす

自身は畑に足を下ろすように道に片膝を立てて座り、膝に腕を置き目を閉じている

それから数分

「ん、んん」

Aが目を覚ました

「ここは･･････」

芦「神山さん！よかった、目を覚ましたんですね！」

「イツキは･･････」

少し斜めに安倍が座っていた

芦「『集中するから声かけるな』だそうです」

それから少し経つと、安倍が顔をあげ、真っ直ぐ煙を見つめた

すると、煙の中から影が見え、ぴょんぴょんとこちらに向かって跳んでくる

ノ「安倍殿ー、芦屋殿ー」

芦「ノボウさん！」

芦屋が名前を呼んだ後、ノボウはズサーッと盛大にこけた

芦「ノボウさん！？」

ノボウさああああん！と叫びながら、芦屋はノボウを起こした

ノ「最後の最後に転倒してしまいました」

そう言うノボウの頭にはたんこぶができていた

ノ「私はようやく、離れることができました･･･。御二人が待っていると言ってくださったから。私はようやく･･･」

ノボウは芦屋に抱きつく

ノ「･･･ようやくッ、友人から逃げずに別れの言葉を言うことができました･･･！」

ノボウは芦屋に抱きついたまま、先程の泥の涙ではなく、透き通った綺麗な涙を流していた

ノ「待っていてくれてありがとう」

ノボウの体は震えていた

芦「1人で･･･辛かったよね。きてくれてありがとうっ」

芦屋はノボウを抱きしめ返す

禅「花繪、煙が消えていく」

さっきまで煙が広がっていた畑から、スーッと煙が消えていく

芦「本当だ！泥も引いてる」

安「ノボウ殿。お待ちしておりました」

ノ「安倍殿、改めてお願いします」

ノ「私を隠世へ祓っていただけませんか？」

安「畏まりました」

安倍はノボウの前に正座し、隠世の扉を開く

ノボウは扉の中に入り、こちらを振り返る

そこには、ノボウに向かって見送りをする4人の姿があった

ノ「(見送りありがとう。アリガトウ、我が友人よ)」