二十二ノ怪ー木偶ー(弍) ページ31
ノ「私1人でですか･･･？」
ノボウは小さく震えた声で安倍に尋ねた
芦「それじゃあ、最初と同じ状況じゃないですか！自力でどうしても脱出できないから困ってるのに」
安「ノボウ殿は自力で必ず出られる。這いずってでも休み休み前進すれば、
3人の間に沈黙が流れる
ﾌﾟﾙﾙﾙ
芦屋のスマホが鳴った
芦「禅子からメールです。『大丈夫』だって･･･」
安「『今から戻る』って返しとけ」
芦「わかりました」
安倍はAを横抱きにする
安「ノボウ殿、俺たちは先に行きます。時間がかかってもいいから追ってきて下さい」
ノボウは黙って安倍を見ていたが、やがて下を向いた
ノ「今まで何度も離れようと試みました･･･。それでも･･･無理だったのです」
ノ「どう足掻いても、この泥と煙に負けて、自力でここから抜け出せなかったら･･･」
安「待ちます」
芦「待ちますよ」
安倍と芦屋の声が重なった
芦「ハモったのは偶然でしょ！？俺に怒らないで下さいよ」
ノボウをそっちのけで言い争いをする2人
安「とにかく！あなたを見限るつもりはない！」
そういうと、安倍は踵を返した
安「行くぞ芦屋」
芦「ハモったのは俺のせいじゃないのに･･･」
まだぶつぶつ言っている芦屋
ノ「ま、待って下さい！安倍殿！芦屋殿！」
ノ「私1人では到底無理です。あらゆる方法で脱出しようと苦心したけれど、それでも駄目で･･･。これが友人の呪縛でなくても、きっと走馬灯を見れば反射的にここに戻ってきてしまう。あなた方は待ち惚けを食うかもしれませんよ！･･･それでも、待っていてくれますか？」
安「はい」
芦「うん」
再び、2人の声が重なる
芦「また後でねー」
2人は煙の向こうへ消えていく
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作者名：まるすけ。 | 作成日時：2020年2月18日 19時
