【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ28)

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二十一ノ怪ー煙炎ー(陸) ページ28

お母さんと立法が何か話している

話の内容はそこだけ雑音が入り、聞こえない

途端にお母さんが自分の体を抱きしめ蹲った

しかし、立法は近寄ることもせず、お母さんを見下ろすだけだった

その時にはもうお母さんは限界を迎えていたのだろう

お母さんの体はどんどん黒いモヤに包まれていった

モヤが晴れると、そこには先ほどの姿はなくなり、醜い姿になっていた

右頬は白く色が抜け、首には青い竜のタトゥーのようなものがあった

右腕には赤い模様が蔓のように這っている

そして左腕には黒い、右腕と同じような模様があった

大好きなお母さんが禍々しい姿に変わっていく

目を逸らしたくても体が石のように固まり目を逸らすことができない

まるで、「お前もいつかこうなるんだ」と言われているようで･･･

お母さんは長く伸びた爪で立法を引っ掻こうとする

その瞬間、立法がお母さんより早く動き心臓を持っていた小太刀で突き刺した

その場にばたりと倒れるお母さん

立法が倒れたお母さんに近寄り何か2人で話している

しかし、お母さんの声はか細く、雑音がないにも関わらずこちらには聞こえない

『うわあああああああああん！！！』

突然、大きな声が森に響き渡った

見なくてもわかる

小さい私が大声をあげ、泣いていた

立法はよほど集中していたのか、小さい私に気付かなかったらしい

立法は慌てて駆け寄ると小さい私を抱き上げた

立法は号泣しながら大人しく抱かれる小さい私を見て来た道を戻っていった

ふと、お母さんの方を見ると、そこには何もなかったように草が生い茂り、お母さんの姿は消えていた

それから、また光景は変わり、一面真っ白な空間が広がっていた

どこから現れたのか、目の前にはぽつんと人の形をした黒いものがあった

『お前はあいつみたいになるなよ』

誰に話しかけているんだろう？

周りを見渡すも誰もいない

『お前だよ、A』

「え、私？」

他に誰がいるんだと言う黒いモヤ

「あなたは誰？」

『俺か？俺は･･････』

そこで言葉をやめた

いや、やめたと言うより聞こえないのだ

雑音も何もないの聞こえない

無音の時間が流れた

すると突如、目の前が暗くなった

それと同時に瞼が重くなり、いつの間にか私は目を閉じていた