【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ26)

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二十一ノ怪ー煙炎ー(肆) ページ26

ノ「ならば走馬灯を見ないよう、頭を強打して、走馬灯(記憶)を消そうと思いまして」

芦屋くんがノボウさんを抱き上げる

ノ「万事尽きたと挫けそうになっていたところでした･･････が！」

ノ「隠世へ祓って頂ければ今度こそこの場所から離れられるはず！さあ！物怪庵よ！私を今すぐ隠世へ！！」

ノボウさんは今までぐったりしていたのが嘘のようにぴんぴんしている

安「祓えません」

「申し訳ない･･･」と続けるイツキをノボウさんは目から泥を流した

芦「安倍さん！"祓えません"じゃ言葉が足りてませんって！『ヤヒコやモジャが元に戻るまで』ってことですよね！」

「イツキ、ノボウさんはサイズ的には問題ないと思うけど･･･？」

安「ああ、大きさは問題ないし、祓おうと思えば祓える。だが"今すぐ"は無理だ」

安「臭いが気になって隠世の扉呼ぶのに集中できねぇ･･･」

イツキ･･･我慢してたんだ････

安「申し訳ないのですが、泥と煙の外までお連れするので、隠世へ祓うのはその後で･･･。ご了承頂けますか？」

ノ「ですが私は泥の中を歩くと･･･」

ノボウさんがそう言いかけるとぎゅっと芦屋くんがノボウさんを抱き上げた

芦「俺が抱えて運ぶからご心配なく！」

安「泥から体が離れても変化ないですし･･･これなら問題ないですね」

ノ「おお！これは素晴らしい脱出策です！これなら煙の中で目を閉じていられるので走馬灯を見ることもありません！」

走馬灯は目を閉じていても見えると思うんだけど･･････

芦「よし、じゃあ行きますよ！」

ノ「お願いします！」

芦屋くんが抱き上げたまま歩くがグラグラとフラつきながら歩くので結局イツキと芦屋くんとで肩を貸しながら歩いた

ノ「おや？まだ煙から抜け出せませんか？」

安「まだです」

しばらく歩いたと思うんだけど、なかなか出口が見えてこない

芦屋くんはノボウさんが目を閉じていないことに驚くが、ノボウさんは目を閉じているつもりらしい

安「見えねぇ」

ノ「ですよね！」

芦「安倍さん、よく見て下さい！ノボウさんの目、絶対に開いてますって！ほら！」

安「前方(前)が見えねぇ」

芦「嘘だ！見えま･･･え？」

安「芦屋･･･お前、方向わかってて前進してたか？」

芦「･･･スイマセン。100％安倍さんに合わせて歩いてました」