【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ22)

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二十ノ怪ー葷燻ー(肆) ページ22

その後も言い訳(?)を続けるヤヒコ

後でしっかり注意しとくか

禅「持ってこよう」

禅子は家でじゃがいもを育てているらしくさっき通ってきた廊下をまた帰っていく

禅子の姿を追うとその先に禅子父が角から顔を覗かせていた

「(禅子と一緒だ･･･)」

禅子父は背後には薄く黒いモヤがかかってそうな雰囲気を出していた

禅「お父さん、ここで何してるの。仕事しなよ」

安「ヤヒコ、具合は？」

ヤ「すこぶる元気♪」

芦屋くんの後ろに隠れているモジャくんはブルブルと先ほど以上に震えていた

芦「そんなにヤヒコ怖い？」

まぁ、これほど妖力も違っていれば恐れることもおかしくはない

ブルブルとすごい勢いで震えていたモジャくんがピタリと止まった

嬉しそうに廊下を駆けていくと、その先にはじゃがいもを持った禅子がいた

禅子はふうっと息を吐いてどさっとじゃがいもが入った袋を置いた

芦「おぉ、すごい量だね！プランターで育てたの？」

禅「ううん。檀家さんの畑を一部借りてお母さんが育てた」

禅「ヤヒコが盗み食いしたのってこれでしょ？」

ヤ「うん！この匂いは間違いない！」

禅「お父さんが昼に食べたらしいんだけど、具合悪くなってないし普通に美味しかったって」

禅子はガサゴソと袋を開けていく

禅子は何か気になったのか、袋に鼻を近づけてクンクンと袋の中を匂った

禅「これ･･･何か変な匂いがするよね？」

そう言って禅子は袋の口を私たちの方に向けた

安「ん！？」

芦「臭ァ！！！」

鼻を押さえてゲホゲホする2人

「そんなに臭い？」

芦「すっごい刺激臭･･･。禅子と神山さんは平気なの？」

禅「そんなに臭う？」

「確かに臭いけど2人ほどまでは･･･」

特にイツキはひどいらしくこちらに背を向けていた

すると、突然ヤヒコが袋に鼻を近づけてきた

ヤ「ねぇ、晴斎。さっきはこの美味しそうな匂いに消されて気づかなかったけど、これさぁ、微かに妖怪臭い」

じゃがいもの土から臭うこともあり、これが植っていた畑に行くことになった

芦「禅子のお父さんさぁ、オレ達のこと嫌いなのかな？」

安「嫌いっていうか"悪い虫"に見えるんだろ」

「だろうね。父親みんなそうなんじゃない？」

芦「そうか･･･。せめて友達認定してもらえたらいいなぁ」

安「あの様子じゃ無理だろ」