【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ20)

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二十ノ怪ー葷燻ー(弍) ページ20

あちらも私たちが来ると思っていなかったらしく

ひどく驚いた顔をしていた

禅父「お前らはこの間の･･･！」

安「その節はお邪魔致しました」

イツキはそんな禅子父をものともせずあいさつをする

芦屋くんはシャキッと姿勢を正した

禅父「何用だ？またノコノコ現れて。禅子を泣かせたこと、身を持って謝罪に来たのか？」

禅子父は兄の形相になりながら、手をボキボキ鳴らし始めた

さらに準備運動も始めてしまった

安「すみません。禅子を呼んでいただけますか？」

禅父「あ？今度は禅子をどこへ連れ出すつもりだ？この間も俺の知らぬ間に夜に外へ連れていったそうじゃないか･･･えぇ？」

禅子父が言っているこの間というのは、ヤヒコとかくれんぼした時のことだろう

芦「あれには理由が･･･！それに今日は禅子から電話があって呼ばれてきたんです」

芦屋くんは慌てて弁明しようとするが、却ってやましいことがあるように見える

禅父「電話だと？」

禅子父には引っ掛かるところがあったらしく芦屋くんを問い詰めている

芦「安倍さんも番号教えてもらいましたよね！」

安「あ゛？俺は知らねぇよ」

芦「神山さんは！？」

「そういえば聞いてないなぁ。後で聞こ」

芦「今すぐ登録消します！」

禅「消さないでよ」

禅子父の勢いに負け、登録した番号を消そうとしたとき

奥から禅子が顔を覗かせていた

禅「3人とも、呼び出して悪かったわ。どうぞ上がって」

禅父「家にあげるだと！？」

「お邪魔します」と言って家の中に入る

禅「お父さん･･･これ以上アタシの友達に失礼なことしたらお母さんに全部言うから」

禅父「その子はいいとして、男友達を家に上げるなんて母さんも許さないと思うぞ」

なるほど･･･この家では禅子母の方が強いらしい

あってみたいな

今度お菓子持ってこよ

廊下を歩いていると、何か違和感を持った

少し前を歩いている芦屋くんの肩に乗っているモジャくんは体を強張らせていた

いや、モジャくんの場合はヤヒコの気配に怯えているだけなのだろう

安「ヤヒコの様子はどうだ？」

禅「元気は元気なんだけどね」

芦「安倍さん！モジャが急に震え出したんですけど！」

モジャくんは体をブルブルと震わせていた

「ヤヒコの気配が怖いんじゃない？前のかくれんぼのときも隠れてたしね」