【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ15)

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十九ノ怪ー隔段ー(弍) ページ15

芦「安倍さん、神山さん！何があったんですか？」

安「チッ、どこ行ってんだよ」

芦「すみません、この子の母親に捕まっちゃって」

そう言って、女の子に目を向ける芦屋くん

「妖怪が部屋から逃げちゃったの。早く見つけないと！」

それから私たちは、手分けして妖怪を探し、無事説得し隠世へ祓うことができた

「それでは、私たちはこれで失礼します」

頭を下げ階段を降りる

階段を降りきった時、モジャくんが後ろを指さした

後ろを振り返ると芦屋くんが不貞腐れた顔で階段を降りていた

私たちの視線に気づいた芦屋くんが顔をあげる

芦「うん？･･････2人に怒ってるんじゃないんで無視してください」

その言葉を聞き、自分と思ったモジャくんがショックを受けた顔をして落ち込む

芦屋くんはすぐさま否定した

芦屋くんが思っていることはなんとなく私も察している

イツキも芦屋くんの考えを察しているのか、はぁ、とため息をついた

安「あのな、ああいう風に言われるのは普通だぞ」

芦「疑うのもわかりますけど、でも･･･！って、え？安倍さん、聞こえてたんですか？」

安「『祓えるのか』とか『説明しろ』とか言ってるのは聞こえた」

「まぁ、ある程度予想はついていたけどね」

芦「神山さんも聞こえてたんですか」

安「その他に何言われたか想像がつく」

芦「これがフツーですか」

芦屋くんが暗い顔でぽつりと呟く

安「あぁ」

芦「ん！？っていうか！聞こえてたならフォローしに出てきてくださいよ！」

安「あの場合、お前に加勢しても、話を遮って蔑ろにしてもややこしくなるだけだろ」

イツキは、祓うの優先、と言葉を続けた

芦「なら、神山さんが出てきてくださいよ！」

「ごめん！私説明苦手だからさ」

あはは、と笑って誤魔化す

安「あっちは見えないんだから、好奇の目で見るのも疑ってかかるのも仕方ねぇよ」

芦「2人とも、やけに平然としてますけど、いつもそんな風に聞き流しちゃうんですか？」

安「平然となんてしてねぇよ」

安「とはいえ、気に留めるのももう面倒くせぇ！」

そう言って、再び歩き続けるイツキ

「芦屋くん。昔はね、私たちも芦屋くんみたいに気にしていた時もあったよ。でも、"全ては妖怪のために"。私たちは、人間がどう思おうが、妖怪を無事隠世に祓うことができればそれでいいの。」