【不機嫌なモノノケ庵】もう一人の奉公人は四神使い―第二章― (ページ14)

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十九ノ怪ー隔段ー(壱) ページ14

翌日、授業が終わり、3人で校舎裏に行き、イツキが躙口(にじりぐち)を出す

芦「次の依頼って、オレ達がジョウマツさんの方へ行ってて、安倍さんと別行動してた時ですか？」

芦「確か･･････話だけ聞きに行ったんですよね」

安「ああ」

イツキが躙口を開けると、中からモジャくんがトトトっと歩いてくる

安「芦屋、着替えてくるから待ってろ」

「あ、私も着替える」

準備を終え、今回の依頼主の元へ向かう

依頼主に案内され、長い廊下を歩く

角を曲がると、そこには大きな扉があった

扉には、何枚ものお札がベタベタ貼られていた

依頼人(母)「それは･･････」

依頼人(娘)「それ、私が貼った封印のお札♪ネットで調べて色々貼ってみたの！」

効かなかったみたいだけど、と続ける女の子

安「なるほど。剥がしますね」

そして、それを躊躇なく剥がすイツキ

後ろで母親が説教しているのを聞きながら、扉を少し開けて中を覗く

「いた？」

安「いた」

娘「いるの！？霊がいるの！？ねぇ、どんな？どんな霊！？」

女の子が勢いよく部屋に入ってくる

芦屋くんが部屋の外に連れ出してくれてるけど、隙見て入ってきそうだなー

中で妖怪の様子を伺っていると、外から母親と芦屋くんの会話が聞こえてくる

扉の側では、モジャくんが心配そうにその様子を見ていた

安「毛玉、妖怪祓い(こっち)を手伝ってくれるか？」

部屋に入ると、中には黒いトゲネズミに似た妖怪がいた

その様子は、悪さをするようなものではなく、ただ怯えているようだった

「だいぶ、怯えてるね。ここからどうする？」

安「人間に怯えているようだからな。俺らは、あまり下手に手を出さない方がいいだろ」

「じゃあ、モジャくん。お願いしてもいい？」

モジャくんが頷く

私たちは何もできずに待つこと数分

「落ち着いたみたいだね」

安「ああ。そろそろ祓うか」

イツキが隠世の扉を開こうとした時･･････

ｶﾞﾁｬ

え･･････！？

音がした方を見ると、依頼人の女の子が部屋の扉を開けていた

それにびっくりした妖怪は、部屋を出ていってしまった

「やばっ、イツキ！」

廊下から誰かが走ってくる音がした