【HQ!!】脚をなくした彼は。―second―

いつか報われるかな。 ページ10

「鬼の目にも……」

「……」

「金ぼう」

「痛い!!」

ただいま、翔陽、影山、田中、西谷の勉強会の最中。
他のメンバーは教える側に回っている。

「ぬぅ〜……おれだって……おれだってぇ……」

先程の珍解答で散々馬鹿にされた翔陽は、悔しそうに唇を噛み締めた。
と、すかさず月島が口を挟む。

「悔やんでる時間があったらもっと勉強すれば?あっちの大きい方に抜かされるよ?」

そう言い、影山を後ろ手に指差す。
すると、さっきまで取り乱していた翔陽が、すんとした顔に戻り言う。

「いや、それは平気。なんか、勉強面ではアイツに負けない自信がある」

「おいどういう意味だ日向ボゲ」

それを聞いた影山が近寄り、翔陽が威嚇する。
そしていつも通りの喧嘩が始まるのであった。

「お前らいい加減にしろ!!!遠征行けなくなってもいいのか?!!」

耐えかねた澤村が一喝を入れる。
月島·山口はやれやれと言った様子で肩を竦めた。




その頃、A。
彼は、衝撃的な言葉を耳にしてしまった。

それは、いつも通りに中庭に向かっている途中だった。
向かう道中に、医師と話せる部屋がある。
そこに母の姿を見つけた。



近付いた。
それが後悔の始まりだった。



医師が、自棄に思いつまった表情で、母に告げた。


「息子さんはもう……




_____バレーボールは愚か、軽いスポーツも出来ないでしょう」

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