最高打点の。 ページ30
「おれ、目ぇつぶんのやめる」
翔陽のその言葉に、影山は耳を疑った。
俗に言う今の変人速攻は、影山が針の穴に糸を通すような精密なコントロールで、翔陽にボールを"打たせる"ようにトスを上げている。
それで何度も点を稼いできた。
何度も嬉しい思いをしてきた。
なのに翔陽は、その速攻をやめると言っているのだ。
その時から二人の仲はギクシャクし始め、二人が会話を交わすこともほぼ無くなった。
澤村はキャプテンとして、また先輩として、二人を心配そうに見つめる。
そして……そのまま東京遠征は一時終了となってしまった。
家に帰り。
翔陽は浮かない顔で自室に戻った。
(おれが、変わらないと。おれが……強くならないと)
ベッドにボフッと転がり、額の上に腕を乗せる。
暫くそのままでいたが、起き上がって外へ出掛ける支度を始めた。
「翔陽、今からどっか行くの?」
リビングに下りてくると、食事の準備をしていた母に怪訝そうに問われる。
言い訳を考えたが、すぐに意味はないと思い直して素直に言った。
「兄ちゃんの病院行ってくる」
「……なら、ご飯食べてからにしなさい。私も車で一緒に行くから」
「分かった」
未だに少々浮かない顔をしているが、短く頷いて椅子に座った。
すると、ととと……と軽い足音を響かせて夏が隣にやってくる。
「兄ちゃんおかえり!!」
「ただいま、夏」
純粋な、無垢な瞳で見つめられ、翔陽も思わず頬が緩んだ。
そしてお得意の太陽の様な笑顔を浮かべると、顔の前で両手を合わせる。
「いただきますっ!!」
少しだけ、久し振りに食べる母の手料理は、変わらず美味であった。
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フルーツヨーグルト - すごく良い話でした!!その後の物語が読みたいです!!! (2019年1月7日 11時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)
隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 永久狐。さん» 形見って何だ笑 絡み、ですね!! (2015年9月21日 10時) (レス) id: c638190847 (このIDを非表示/違反報告)
隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 永久狐。さん» 有難う御座います、嬉しい限りです!!青城との形見は、番外編?後日談?のようなもので書かせて頂こうと思います!!ご意見有難う御座いました。 (2015年9月20日 15時) (レス) id: c638190847 (このIDを非表示/違反報告)
永久狐。 - めっちゃおもろいし、感動しました!あと、もしよかったら及川さんとか、岩ちゃんとかともかかわってほしいです! (2015年9月20日 13時) (レス) id: f751c0a108 (このIDを非表示/違反報告)
隣のふー@くろまめ。(プロフ) - まなみさん» 初めまして。感動して頂けましたか…!有難う御座います!私が結構すぐ諦めちゃう性格なので、その辺夢主くんにやらせてますねw (2015年1月25日 23時) (レス) id: 712ba0ee00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:隣のふー@くろまめ。 | 作者ホームページ:
作成日時:2014年7月13日 0時