あと___ ページ9
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『着いたのはいいけど何処にもいないね。』
「二級ですけど気を抜かないでください。」
『わかってるよ。』
喋りながら建物内を歩く。三級程度の呪霊は出てくるのに本命の二級が出てこない。隠密が得意な呪霊なのかはたまた、ただ遭遇してないだけなのか。
『っ!七海、灰原、居た。あそこ。』
彼女が指差す先には、もう亡くなってしまっている人間に貪りつく呪霊二体。
『…行くよ。七海はそっちから灰原はそっち。私はこのまま真正面から行く。いいね?』
こくりと頷き、呪霊に攻撃をぶつけた。
あっという間に倒す。
ぐすりと泣き声が聞こえ、そちらを三人で見る。
『君、名前わかる?』
「ゆ、雪…お母さんが…お母さんが…っ」
『おそらくさっきの…灰原、この子頼んだ。』
「わかった!行こっか、雪ちゃん。」
灰原が女の子を連れ外へと向かう。
『私達は建物をもっかい見てから出ようか。』
「わかりました。」
静まり返った建物内を警戒しながら歩く。
その時、彼女が大きな声で名前を呼んだ。
『七海っ!!』
バランスを崩して受身を取り損ねる。
顔だけを上げると、呪霊に腕を噛み付かれたAが居た。
「A…!」
『来るな!此奴、一級呪霊だ…!』
苦痛に顔を歪め、呪霊の顔部分に拳をぶつける。
Aが呪霊と戦闘を始めた。
速い…!恐らく、一級の中でも上の方なんだと理解した。
「援護します!」
自分ができる範囲で彼女のサポートする。
二人でやれば何とか倒せるくらいだということはひと目でわかる。
苦労しながらも呪霊を祓うことが出来た。
『っは、くそっ、…いてぇ。』
「早く、出ましょう!病院に行かないと、っ!」
『運ないなぁ、ほんと。』
彼女の手を掴み、立ち上がらせ外へと向かおうとした。
「だ、誰か助けて!」
その声で振り返ると先程とは違う子供がいた。
彼女は私を振り払うと一目散にその子の元へと向かう。
そしてその子を私の方へと投げた。
「! A……!!」
彼女の上からは瓦礫が降ってくる。
『こうなる前に辞めてればよかった』
『ごめん、あとは頼んだ。』
ふっと笑って目を瞑った。
瓦礫がガラガラと音を立てて彼女を押し潰した。
瓦礫と瓦礫の隙間から血が這って道を作る。
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森 - はー…泣いた…うわぁぁぁぁ(泣) (2022年2月25日 1時) (レス) @page13 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
不登校 - 面白かったです…。涙目になりながら見てました。なんか最初から謎に悲しい感じ?がしてて、短いのに凄く満足がいく終わり方でした。素敵な作品をありがとうございました。 (2021年4月8日 2時) (レス) id: b82930c744 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - 泣いちゃいました…。素敵な作品をありがとうございます。 (2021年3月25日 1時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
MiO(プロフ) - じんわり、、、、( ; ; ) (2021年2月15日 3時) (レス) id: 2121e4080a (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 笑って「お疲れ様」って言われれば絶対ナナミンでも泣くと信じて疑わない作者です。 (2021年2月12日 22時) (レス) id: d32e84793c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chloe | 作成日時:2021年2月1日 0時