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俺の一歩前を行く彼の背中はいつもより小さかった。
それでも、俺の手首を控えめに掴んで離そうとはしない。
俺たちの重苦しい空気はカラオケ店の終了時刻を知らせる安っぽい電話の音にかき消され、
めめはさっきまで泣いていたくせに、
一丁前に俺の手を取って、無言で一歩前を歩く彼はなんだか可愛らしい。
彼の吸血からしばらく時間が経って、
ようやく麻薬を打たれたように快楽におぼれていた俺の脳ははっきりし始めてきた。
でも、まだぼんやりしているフリをして
彼に引きずられるようにして街を歩く。
「タクシーつかまえてくる」
そのぬくもりがふと離れたと思うと、
目目はそう言って振り返り、伏し目がちに彼を見た。
「わかった」
「ここで待ってて」
裏路地とはいえ、ここは渋谷だ。
目の前をたくさんの人が行き来している。
俺はめめに言われるまま、建物の影に背中をついて
彼が戻ってくるのを待った。
無意識に往来する人たちの首元を目が追いかける。
麻薬が切れて、俺の首筋はじんじんと痛み始めていた。
しばらく感じることができていなかった痛みは心地よい。
この痛みは、自分だけのものだと思っていたのに。
めめに血を吸われた人たちは、
あの美しい顔を見て、どんな風に思ったのだろう。
どんな顔で彼はその首元に吸い付き、
吸われたものたちはどんな表情でそれを受け止めたのだろうか。
空はどんより重くて、ねずみ色の雲は低い位置に停滞している。
水分をたっぷり含んだそれは、今まさに地上に水をこぼそうとしていた。
「阿部ちゃん、」
頬に雨粒が一つ落ちてきたのと、
めめに名前を呼ばれたのはほとんど同時だった。
「待っててって言ったのに」
渋谷の街を歩く人達の首元を追いかけているうちに、
待っていてと言われた場所から少し移動してしまったみたいだ。
「あ、ごめん」
降り始めた雨は一気にその勢いを増していく。
ぽつぽつと心地よいリズムを刻んでいたのに、
すぐにザァーというまとまった音に変わった。
「行こう、風邪引くから」
「…うん」
めめが俺の手を引く。
力強く、優しく。
時折俺の方を振り返るその視線が、
雨に濡れた髪から覗く真っ黒で真っ直ぐなキラキラした瞳が、
どうしようもなく俺の心を掻き乱す。
さっきまで泣いていたのが嘘みたいだった。
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haryu(プロフ) - パスワードにつきましては、調べればすぐに出てくる簡単なものになりますのであえて明言はしないつもりです…どうしてもの場合は、この界隈で気を付けていることをメッセージ等で教えていただけましたらお伝えするかもですが、とっても簡単なので調べてみてくださいね (2021年7月27日 21時) (
レス) id: 4773123c33 (このIDを非表示/違反報告)
maeson(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいております☆PWの件でメッセージを送りましたので、確認していた抱けると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2021年7月16日 0時) (レス) id: fb509ff87f (このIDを非表示/違反報告)
るあ - すみません（汗）1つ聞きたいのですが、haryu様がパスワードを掛けている作品のパスワードが分からないので答えてもしくはヒントを頂きたいです (2021年7月13日 21時) (レス) id: 6c3c1d460c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2021年1月2日 22時
