17.交差点 ページ17
Side:mm
渋谷の交差点で、マスクをして深くフードを被り、
コンクリートで塗り固められた建物によりかかりながら、
通行人の顔を注意深く観察していた。
ここで自分だとバレたら最悪だ。
ただ、ある程度自分のことを認識してくれそうな相手に
偶然を装って声をかけ、
そのまま少し会話をして、血をいただく。
そのためのファンサービスならなんでもやったし、
血を吸った相手の記憶は申し訳ないけれど全て奪い去る。
その血は別に美味しくもないけれど、
彼から奪うよりはマシだ。
そうすることで、少しずつ吸血衝動をコントロールできるようになった。
往来する人々の顔を見る。
持ち物、会話、全てに意識を向ければ、
不思議と必要な情報は耳から入ってきた。
俺たちの話をしている女性たちは
１人や２人じゃない。
人数が増えると面倒だし、
できれば２人、最悪３人程度なら、
全員から血を頂いて、記憶を奪う処置をすればいい。
『今度、いつ家に来る？』
遠慮がちに俺の袖をつまんで
上目遣いでそう言った彼の顔色は、
久しく見れていなかった健康的な血色が戻ってきていた。
それを見て、これで良かったんだと心から思った。
「じゃあ、明後日」
変に吸血を辞めるのも鋭い彼にバレるような気がしたから、
ご褒美がてら、と自分に言い聞かせ、そう約束をした。
でもその前に、
ある程度別の血を飲んでおかないと、
また彼から血を吸いすぎてしまう。
そう思って、今日も仕事帰りに交差点を行き交う人々を眺めている。
でも不思議だ。
ステージに上がれば、途端にファンにキャーキャー言われるけれど、
こんな街に繰り出してしまえば、まるで誰にも気づかれない。
みんな自分たちのことに精一杯で、
人と人との間をどう抜けようか、
前を歩く人をどう抜かそうか、
そんなことばかりを考えているように見える。
自分だってそうだ、
誰なら血をくれそうか、
騙されてくれそうかばかりを考えている。
自分のことばかり、考えている。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
haryu(プロフ) - パスワードにつきましては、調べればすぐに出てくる簡単なものになりますのであえて明言はしないつもりです…どうしてもの場合は、この界隈で気を付けていることをメッセージ等で教えていただけましたらお伝えするかもですが、とっても簡単なので調べてみてくださいね (2021年7月27日 21時) (
レス) id: 4773123c33 (このIDを非表示/違反報告)
maeson(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいております☆PWの件でメッセージを送りましたので、確認していた抱けると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2021年7月16日 0時) (レス) id: fb509ff87f (このIDを非表示/違反報告)
るあ - すみません（汗）1つ聞きたいのですが、haryu様がパスワードを掛けている作品のパスワードが分からないので答えてもしくはヒントを頂きたいです (2021年7月13日 21時) (レス) id: 6c3c1d460c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2021年1月2日 22時
