綺麗 ページ24
私の笑い声を聞いて一瞬シンとしたが、すぐにザワザワとした空気は戻って来た。
「あいつも俺らを騙してたのか!」
「くっそ、ビーターめ!」
「お前らが情報を渡してりゃ、ディアベルさんは……っ!」
悪口雑言が飛び交う中、私のこともキリトのことも知らない人がいるようで、探るような目で私達を伺っている様子も見て取れた。
『【
「なっ、ま、まさか……!」
名を聞けば私だと合点がいったらしい。
仕方の無いことだと思う。
後衛向きの槍を振り回しながら1人でボスに挑むプレイヤーが、こんな子どもだと思わないだろう。
隣に立つキリトが、苦虫を噛み潰したような顔でこちらを見てくる。
注目を浴びるのは自分だけで良かった、とでも言いたそうな顔だ。
『で、なんだっけ? ビーター?
キリトと被るのは癪だけどさーあ、私もあんな素人連中と一緒にされるのはヤな訳よ』
ーー何が言いたいか分かるよね?
私がこう笑うと、誰かの喉がゴクリと鳴った。
キリトは私の説得を諦めたようで、隣でウインドウの操作をし始めた。
そして覚悟を決めたのか、自らの装備を変えた。
ダークグレーの革コートから、ボスのドロップ品である【コート・オブ・ミッドナイト】に。
膝下までの艶のある黒いロングコート。良く覚えている。
ベータ時代、第1層のLAを取ったのは私だったから。
キリトはばさりとコートの裾を翻し、ボス部屋後方の小さな扉へと向き直った。
そして、
「第2層の転移門は、俺達が
と笑いながら言い放った。
歩きだそうとするキリトに、私も賛同する。エギルとアスナがジッと見つめてきた。
2人とも、何もかも解っている、というような眼をしていた。それが救いだった。
私とキリトは顔を見合わせた後、2人に向かってほんの少し微笑みかけた。
そして部屋の後方まで大股で歩を進め、2層へと繋がる扉を押し開けた。
狭い螺旋階段をしばらく上ると、再び扉が出現した。
そっと開ければ、とてつもない絶景が広がっている。
『うっわぁ……綺麗……っ!』
あの時は、ひたすら上を目指していたから、こんなに綺麗な景色が広がっているなんて気づかなかった。
キリトは申し訳なさそうに私の手を引き、テラスの端へと導いた。
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SHEI☆(プロフ) - こおりざとうさん» いえ…………僕のスマホのバグかもしれませんので。他の方は名前変換のことは何も書いていませんので、やはりバグかな?と、思っています。 (2018年1月12日 17時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - SHEI☆さん» それは失礼しました。現時点では原因がわかりませんが、色々と試してみようと思います。 (2018年1月12日 16時) (レス) id: f96c6ac768 (このIDを非表示/違反報告)
SHEI☆(プロフ) - すいません、何故か名前変換出来ていません…………(つд;*) (2018年1月11日 16時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 見かけ倒しのジョージさん» コメントありがとうございます! 面白いと言っていただけるのは、すごく嬉しいです!! これからも頑張ります (2017年2月22日 20時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
見かけ倒しのジョージ - 凄く面白いです!更新頑張って下さい!! (2017年2月22日 7時) (レス) id: 0ec802a08c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2015年9月22日 22時