ドMなんですか? ページ5
……如何してこんな事になったのだろう。
あれから太宰さんに手を引かれ、今はうずまき(?)とかいう喫茶店に来た。
4人掛け用のテーブル席を私と太宰さんの2人で占領している状態だ。
私の目の前には、グラスに少しだけ汗をかいたアイスティーとチーズケーキが置かれている。
グラスに入れられた透明な氷がカラリと音を立てた。
ちなみに先程から私たちは無言だ。
なんとなく沈黙が辛くなったので、仕方なく太宰さんに声をかけることにする。
『あの、太宰さ「治」…?』
「どうせ呼ぶなら“治”にしてよ。」
『おい糞野郎。聞きたいことがあるんだけど。』
「口悪っ! しかもタメ口!?」
ーーまあ、君みたいな子なら歓迎なのだけどね。
太宰さんはクスッと笑った。
私は意味が分からなかった。
『太宰さんって、』
「おや? 下の名前で呼んでくれないのかい?」
『……話の腰を折らないでください。太宰さんって、』
一瞬、本当に云っても良いのか躊躇ってしまい言葉に詰まる。
当の本人はニコニコと笑い乍らこっちを見ている。
『太宰さんって……
.
.
.
.
ドMなんですか?』
悩みに悩んだ末に言葉にしたが、私の言葉で店内の空気が固まった。
と思いきや、店内は笑いに包まれた。
『えっ? えぇっ!?』
私は何か間違ったことを云ってしまったのだろうか。
太宰さんだけでなく、店のおばちゃんや店長までもが笑っている。
「此処の喫茶店は“我々”の家みたいなものでね。君が、今更のように私に対してドMなんて云うからみんな可笑しくて笑ってしまったのだよ。」
ーーちなみに云うと、私はドMではなく只のジサツ
目をギラリと輝かせ、太宰さんはキメ顔をする。
整った顔立ちのせいか、とても恰好良く見える。
「嗚呼、そういえば。君の名前を聞いていなかったね。」
『山田花子です。』
「偽名は良くないよ。」
全てを見透かして仕舞うような瞳をする太宰さんに、私は少し怯む。
『…………Aです。お好きに呼んでください。』
ーーではAちゃん。
太宰さんは笑顔のまま扉を指さした。
『……?』
「あと数秒で、此処に嵐が来るよ。」
バンッ
私が首を傾げる前に、うずまきの扉が勢いよく開けられた。
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時