院長先生、云ってた。 ページ40
私は時々、太宰さんの異能力の正体は【相手の心を詠む】なのではないかと思う。
「
今のだって多分、敦君の気持ちを判ったうえでの言葉だろう。
「縁遠すぎて、別の惑星の文化を見てるみたいです。」
「敦君。院長で何を購おうとしていたか判ったかい?」
「はい……。先生は僕に会う前に、花束を購おうと……。」
太宰さんの視線と私の視線がぶつかる。
『……敦君、これ。』
「これ、は……?」
『院長先生が、敦君に渡そうとしてた花束。』
「……っ! なんで、Aちゃんが?」
嬉しさと怒りと焦りと……色々な感情が混ざった様な目を私に向ける敦君。
嗚呼、だから厭だったのに、太宰さん。
『私のバイト先の花屋にね、注文が入ったの。院長先生から。』
「でも、如何して……。」
『依頼主に何があっても仕事を最後まで成し遂げるのが、私達の仕事でしょ。』
「でも……、」
花束を一向に受け取ろうとしない敦君に、そろそろしびれを切らした私は、半ば押し付けるように敦君の手に花束を握らせた。
『院長先生から貰いたかったかもね、私でごめん。でも、受け取ってほしい。
その花束の中央にある花、ガザニアって云うの。花言葉は……
────《あなたを誇りに思う》』
私の言葉に敦君は目を見開く。
そして、微かに唇が動く。
ど う し て
『……院長先生、云ってた。
【久しく会っていない子供にあげる花束なんだ。
追い出すように離れたから、今迄、何処に居るのかも把握出来ていなかった。その子供が先日、横浜で大勢の生命を救ったらしいんだ。激励する為に持っていきたいのだけど……あの子は受け取ってくれるだろうか。】って。』
「……太宰さん、Aちゃん。
僕は、どんな
泣きそうな瞳に、僅かに上がった口角。
本当に判らないんだろうなと思った。
だけど私にも判らない。
────否、判ろうとは思わない。
「君の感情だ。好きな顔をすればいい。私に云えるのは一般論だけだ。
────人は、父親が死んだら泣くものだよ。」
こう云って、太宰さんは歩き始めた。
私はその後を慌てて追う。
(太宰さんどうしましょう……。
敦君に、“忘れないで”って云い忘れました……!)
(あー……まあ、敦君なら大丈夫でしょ。多分。)
(…………ですよね!!)
ー作者よりー
次回からはオリジナルに戻ります。
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時