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ページ38

〖中島said〗


「君はいったい何を……!」

『何って、見たままだよ?』

「これは全て、君が遣ったの?」

『うん、まあね。』




何とも思っていないような表情で、Aちゃんは淡々と答える。

色々と聞きたいことは有るし、色々と責めたいことも有るのに、上手く声にならない。




『敦君さあ、何で来たの。』




突然、彼女から声をかけてきた。




「鏡花ちゃんが、電話をかけて来たんだ……“助けて”って。」

『へえ。』



対して興味もなさそうにAちゃんは相槌を打つ。




「君は……何故こんな事をしたの?」






Aちゃんは真っ直ぐ僕を見つめてくる。
何も見ていなさそうで、全てを見ている────まるで太宰さんのような眼で。

やがてAちゃんは口元に三日月を描いた。





『私ねえ、大事なものとか“壊したく”なるんだあ。』




まるで幼稚園児のように、Aちゃんは笑顔で話す。





『好きなものとか、他人に壊される前に自分が壊しておきたいの。だからね、ほら。皆のこと大好きだから────壊しちゃった。』


「そんなのっ……じゃあ、僕が来た時に君が発した言葉は、どういう意味?」





何のことだか忘れた、そう云いたげに首を傾げるAちゃんに僕は続ける。


「何で来たのか、僕に聞いたよね。」




ーー嗚呼、あれね。

『折角、生きる希望とか意味とか見つけた敦君を殺しちゃ、可哀想かなって。ただそれだけ。』



「そっか……。」

ーーじゃあ、僕には生きる希望も意味も無くなったからさ、

「────殺してよ。」







僕の言葉に、Aちゃんは僅かに目を見開いた。
が、直ぐに笑顔を作り直す。




『後悔しても知らないよ。』

「後悔するのは君の方だよ。」

『私は後悔しない。』

「じゃあ、僕だって後悔しない。」





Aちゃんは、1歩、また1歩と僕に近づいてくる。
不思議と怖くなかった。Aちゃんに対する怒りもなかった。


────ただ、Aちゃんを独り遺してしまうという。若干の罪悪感だけあった。









『ねえ、敦君。』



包丁を高く掲げたAちゃんが、ポツリと言葉を溢す。



「なあに?」

『怖くないの。』


ーー怖くない。

こう答えようと思ったが、Aちゃんは僕の返事を聞かず、勢いのまま包丁を振り下ろした。









『Trick or Treat

お菓子くれなきゃ悪戯するぞ。』


最期に、Aちゃんの声が聞こえた気がした。

ピリピリ→←〃



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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時

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