花束の依頼 ページ31
『……久しく会っていない子供に、お渡しするのですね……はい。』
初めての潜入捜査から数日後。
今日は、バイト先の花屋に来ている。
探偵社に入ると決まったのがあまりに急すぎて、辞める間も無かったのだ。
という事を社長に相談すると、掛け持ちOKの許可をくれた。
『嫌われている……?
……判りました。では、“ガザニア”を中心とした花束は如何でしょう。
ガザニアの花言葉は……《あなたを誇りに思う》です。』
電話で花束の注文を受けているのだが、このお客さん、相手に受け取って貰えるかが心配らしい。
何でも、離れて暮らしている子供が大きな成果を上げたので、そのお祝いにあげるんだとか。
『……花は、自分の心を表してくれるんです。きっと大丈夫ですよ。』
私が何時も店長に云われている言葉を教えると、相手は少し納得したように「お願いします。」と云い、電話を切った。
「Aちゃん。今の電話、注文?」
『はい。子供にあげる花束を作ってほしいと。
……あの……っ! 今回の花束作り、私に任せてもらえませんか?』
「善いわよー。」
『……えっ?』
店長のあまりの軽さに少し驚いた為、間抜けな声が出た。恥ずかしい。
「お客さんは子供に渡すって云ってんでしょ?だったら、子供のAちゃんが作った方が善いわよ。」
カラカラと笑い乍ら、店長は私の頭を撫でた。
「最近のAちゃん、何だか楽しそうね。私も嬉しいわぁ。」
『……そう、ですかね。』
私が少し俯いたのを見ると、店長はフッと笑う。
「一寸、仕入れに行ってくるから。店番よろしくねぇ。」
『あ、はい。』
……頬が少し緩んでいたのは見られていない筈。
389人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時