お嬢ちゃん ページ30
電話を終えた私は、正座する敵さんの前で椅子に座っていた。
太宰さんは未だ帰ってきてない。
嗚呼、そうだ。彼等に云っておかなければ。
『ねえ。』
「は、はい。」
『先刻、素直に答えてとは云ったけどさ、』
私は大きく息を吸う。
『私の異能力については何も云わないで。』
敵さんの目には疑問の色が浮かぶ。
当然と云えば当然だろう。
『私の異能力は、“__________________”する事が出来る能力。
お願いだから、この能力については何も云わないで。
……お願い、します。』
私は頭を下げた。
土下座はしていないが、しろと云われればする心算だった。
それ程の、覚悟なのだ。
「……顔上げな、お嬢ちゃん。」
ふと、私の耳に優しい声が届いた。
「幼子にそんな泣きそうな顔で頼まれたら、断る義理は無ぇよ。」
『……私、18です。』
「おや、そうかい。」
ガハハと豪快に笑う敵さん。
すると、太宰さんが帰ってきた。
「軍警には連絡したよーっと、あれ? 君達、仲良くなったの?」
『ええ。太宰さんなんかより、よほど善い人です。』
「何それひどーい!」
『……私より、太宰さんの方が酷いです。』
「……ん? それ、どう云う意味かな。」
文脈的には疑問文なのに、全くそれを感じない、太宰さんの少し強い口調。
怖い、とは不思議と思わなかった。
────
まもなくして、軍警がやってきた。
案外早い到着だなと思ったが、日本の警察は凄いと云うし、こんなもんかと納得した。
あれだけ太宰さんが云っていた事情聴取も、呆気なく終わった為、少し拍子抜けだった。
今回の潜入捜査で得たものと云えば、
以前話した軍警(判らない人は、《幾つもの不運》を見てね)の名前は、
あの時、私の推理が合っていた事から、ずっと仲良くなりたいと思ってくれたそうだ。
嬉しいな
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時