【文豪ストレイドッグス】シにたがり少女の生く(いく)末は

かに玉 ページ24

探偵社に少し(かなり)遅めの出勤なーう。


えっ？あれから太宰さんは如何したかって？
何、知りたいの？

……長いし、回想シーンで良いよね。



〜回想〜

自分の家と間違えてますよ。と云いたくなるほど寛いでる太宰さんの前に、私はコトリと食器を置く。


皿には、光を発しているのではと疑いたくなるくらい綺麗な黄色のかに玉が乗っている。

ふわとろに成っている筈だ。



『味わって食べてくださいねーって、早っ!?』


私の言葉より先に、太宰さんは美味い美味いと云い乍ら、かに玉を頬張っていた。

……火傷しないのかな。




『……太宰さん、ハァ。』


「ため息は酷くないかい、Aちゃん。」


『そんなこと無いです。と云うか、早く帰ってください。』


「えぇー。治ぅ、こんなに暗い中、帰れなぁい。」


『そうですか。別に善いンじゃないですか？家に帰らなくても。

その辺で、野良犬にでも喰い殺されてください。』





私の言葉に、太宰さんは引き攣った笑みを浮かべる。

笑えない冗談はよしてくれ給え、と。




『冗談？ 厭だなあ。私は何時でも本気です。』


「そ、そうかい。おーっと大変だァ、私は用事を思い出したよ。」





太宰さんはこう云って、そそくさと帰っていった。

本当に面白い人だ。






〜回想終了〜



という訳で、あの後、太宰さんは帰ったのです。


『フンフンフーン、Let’s 心中!!』



心中の歌を口ずさみ乍ら、探偵社は目前に迫った道のりを歩く。

すれ違う人達が変な目で見ている気がするが、気の所為だろう。




ーー嗚呼、そうだ。どうせ(大)遅刻なのだから、うずまきに寄っていこう。





私は、最近出来た友達を思い出して、少し口元に笑みを浮かべた。

ルーシー→←新婚さんみたいだねえ。

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