初めての筈なんだが。 ページ22
「Aちゃんは本当に此処に1人で住んでるの? 広いねえ。」
家に入れた途端、太宰さんはあちこちを探索し始めた。
2階にある自室に勝手に入られそうになった時は、流石に殴った。
いや、まあ。許可を出すつもりも無いけれど。
『……そろそろ満足ですかぁ、太宰さん?』
「いやぁー、これだけ広いと、毎日飽きないだろうねえ。」
こう云い乍ら、太宰さんはポスンとソファーに座った。
『飽きるに決まってるじゃないですか。生まれてから18年間、此処で生活しているんですから。』
「ああ、それもそうか。」
太宰さんは、一昔前の漫画のように、態とらしく納得したポーズをする。
……あ。私からしたら昔に感じるのは当然か。なにせ太宰さんと私は、4歳差(?)だもん。
「あぁぁ……それにしてもこのソファー、ふかふかだねえ。出来ることなら、このふかふかソファーに埋もれてシにたいよ……。」
太宰さんは幸せそうな顔をしながらソファーに寝転ぶ。
『無理ですよ、それで死ぬのは。遣ったこと有りますから。』
「そうか、じゃあ無理だね。」
何だかんだで、太宰さんがウチに来るのは今日が初めての筈なんだが。
そんな太宰さんは、ウチのソファーに寝転んでいる。
もう一度云おう。
太宰さんがウチに来るのは、今日が初めてだ。
「……ねえ、Aちゃん。」
『厭です。』
「……まだ何も云ってないよ?」
『どうせ太宰さんの事ですし、探偵社のソファーと交換しようとか云うんでしょ。どうせ。』
「流石はAちゃん。話が早いね。」
『だから厭ですって。』
そんな事云わないで!ほら、ねえ?
とかブツブツ云っている太宰さんを無視し、私は太宰さんが寝転んでいるソファーの向かいに置いてあるソファー(第2)に座って本を読む。
有名な【完全ジサツ読本】だ。
この本を手に入れる為に、いったい何件の本屋を巡ったことか……。あの苦労は、きっと一生忘れない。
「おや、それは【完全ジサツ読本】じゃあないか。」
『矢張り太宰さんもご存知ですか。』
「まあね。それほどの名著は他には無いよ!」
『〖J・D・サリンジャー〗の【ライ麦畑でつかまえて】だったりとか、
〖ジョゼ・サラマーゴ〗の【白の闇】とか。面白い本は数え切れない程ありますけど…【完全ジサツ読本】はそれを超えますよね!』
「……!!」
『……?』
私の言葉に、太宰さんは僅かに目を見開いた。
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時