【文豪ストレイドッグス】シにたがり少女の生く(いく)末は

結構当たるのだよ。 ページ21

太宰さんから、頻繁に某無料通話アプリでメッセージが送られてくる。



包帯の申し子私、太宰さん。今、交差点にいるの。


包帯の申し子私、太宰さん。今、丈夫そうな木を見つけたの。


A何処ですか、すぐ行きます。


包帯の申し子私、太宰さん。今、貴女の家の前に居るの。て訳で開けて?




最後のLINEが送られて来てからは、家のチャイムが連打されている。

一寸待って怖い。




『……ああ、もう！ いったい何なんですか！』


「やあ、やっと出てくれたね、Aちゃん。

突然だけど、一緒にご飯でもどう？」


『何考えてんですか。遂に頭がイカれたんですか。残念ですね、太宰さんは逝けなくて。』







私は思いきりドアを閉める。

が、ドアは一向に閉まらない。





『っ、太宰さん！ 足、折れても知りませんよ!?』





太宰さんが、ドアの隙間に足を挟んでいるから。





「願ったり叶ったりだよ。」


『ふっざけんな！』




格闘すること5分。
太宰さんに物理的攻撃で勝てるわけが無いと判った。かと云って、心理的攻撃でも勝てる気がしない。








『……っ太宰さん。お願いです、今日以外にしてください……っ。』


「そうか……悪いけど、それは無理だね。」


『、なん、で……！』




太宰さんは、初めて会った日のように、優しく笑った。





「君が、何だか苦しそうだったから。

……今すぐに消えてしまいそうな気がしたのだよ。」


『気がしたって……そんなんで、』


「私の勘は、結構当たるのだよ。」





玄関の前で、太宰さんはニコニコ笑い乍ら立っている。




『……どうぞ入ってください。』







仕方なく私は、太宰さんを家に入れた。









……仕方なくとか云い乍ら、厭な気がしなかったのは、きっと気の所為だ。

きっと。

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