開いた口が塞がらない ページ12
福沢社長との地獄の対談にキリがついたため、太宰さんに促され社長室を出た。
『し、失礼しましたぁー……』
私の声が聞こえているのかいないのか……社長は無言だ。
悲しい事この上ない。
『ねぇ、太宰さ、って速っ!!』
太宰さんは私なんてお構いなしに、スタスタと前を行っている。
「おーい、Aちゃーん。早く来ないと置いてくよぉー?」
『待ってくださ、うわっ』
太宰さんを追いかけようとした時、誰かにぶつかった。
『す、すみませんっ!』
「……君、誰?」
『えっと……』
た、助けて太宰さん……!
どうやら私がぶつかったのは、今目の前にいる男性らしい。
不揃いの黒髪、ハンチング帽に着崩された茶色のスーツ。
「おや? 乱歩さんじゃないですかー。」
『だ、太宰さんっ! 初めて感謝しました!』
「Aちゃん!? 全部声に出てるからね!?」
『態とです。』
「酷いなァ……。」
先程まで、虎でも射殺せそうな目だった乱歩さん(?)は、太宰さんが来てくれたおかげでニコニコ(ニヤニヤ?)と笑う。
「なぁーんだァ、太宰の知り合いだったのか。」
「はい。知り合い、と云うか新入りです。」
「へぇー、新入り。
……ねぇ新入り。名前は?」
『えっ、あ、篠原です。』
本日何度目か分からない自己紹介をすると、乱歩さん(?)は不満そうに顔を歪めた。
「違うよ! 名前だよ、し・た・の・な・ま・え!!」
『、Aです。篠原A。どうぞ宜しくお願いします。』
「あっそ。僕は江戸川乱歩、この探偵社1の探偵さ。
仕方ないから仲良くしてあげるよ、A。」
これだけ云うと、乱歩さんこと江戸川さんは、何処かへ行ってしまった。
江戸川さんについて判った事は、一寸よく分からない人って事だ。
「善かったねぇ、Aちゃん。」
『何がです?』
「乱歩さんに気に入られて。この探偵社では、乱歩さんに気に入られないと生きていけないからね。」
『そんなに凄い探偵なんですか? 江戸川さんって。』
「うん、凄いよ。確かに凄いけど……。」
太宰さんはここまで云って、何か隠すように下を向いた。
『何なんですか、いったい。』
「…………彼はね、もの凄く我が儘なのだよ。」
『……子供か。』
「ちなみに、ああ見えて26歳ね。」
『にじゅっ…!?』
開いた口が塞がらない。
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時