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「…哀露さん?」
「ッ!」
「大丈夫ですか…?」
「うん、大丈夫だよ、ごめんね」
クラスメイトに起こしてもらった私。
今は昼休憩が終わったチャイムが鳴った後だろうか。
長い間寝てたらしい。
お昼、食べてないな。お腹すいてない。
やる気が出ない、だるい。
「いえいえ!
…それより哀露さん気分悪いんですか…?」
どうやら心配して起こしてくれたそうだ。
「っえ、あ、ううん……少し寝不足なの」
「そうなんですか…
今日は寝られると良いですね」
「うん、ありがとう」
頑張って微笑んでみる。
壁を作ってると思われたかな、思われてないよね。
普通に接せてるはず。
私なら、できる。今の私ならできてる。
「私は席に戻りますね!」
「うん、わかった」
タタタッと小走りに席に戻るクラスメイト。
私のことを、みんなはどう思ってるんだろうか。
(……優等生?優しい?ちょっと抜けてる?
それとも裏表がない人?)
どれにしたって不正解。
優しいのだってそれなりな関係を保つ為。
決して仲良くしたいからってわけじゃない。
(自分を守る為だって知られたら
………みんなはどう思うんだろ?)
恐怖が私を襲う。
中学からの知り合いはほぼいない高校生活。
ダメにはしたくない。
そもそも学校に行かなきゃよかったと思うこともあるけれど、それはそれでダメだ。
お姉ちゃんに迷惑をかける。
お姉ちゃんの為にも良い仕事につかなければならない。
お姉ちゃんは1人で朝から夜まで毎日仕事をしていた。
当の本人は余裕そうだが、熱になったり倒れそうになったりしているのも現実。
最近は減った方なのだが…このまま一生お姉ちゃんに任せっきりにはしたくない。
だからこそ良い仕事、良い学校に行くには学力は、必要だ。
…まずこの馬鹿げた頭じゃ無理かもしれないけど。
「次の授業は……………」
私はふと壁に貼られている時間割表を見る……次は数学。
移動教室がないから体力は使わないし、安心だ。
ため息をついて私は数学の授業の用意をする。
でも、そっか。
こんなダメな私でもミクは手を差し伸べてくれるんだよね。
…偽りの「好き」で繋がれた「セカイ」。
素敵で、穢れた…セカイ。
でも。
あのセカイは私とミクのどんな想いから創られたのだろう?
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作者名:テア | 作成日時:2022年6月24日 18時