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「Aって音楽好きだったわよね」
「…うん、それが何?」
「ついさっき買い物中にコレを見つけたのよ
『VOCALOID』っていう歌を歌ってくれるもの」
「…へぇ、これは………初音ミク、か」
「そうなの
初音ミクって最近よく聞くじゃない?
Aにあげようと思って!」
「お姉ちゃん…コレ高かったんじゃ…」
「ふふ、大丈夫よ
今日給料日だから!」
「1日目にしてお金が……って…2万円?!」
「このバージョンが使いやすいってネットに書いてあったのよ〜」
「お姉ちゃん!?
誕生日プレゼントでもないんだから!
本当にどういうつもり?!」
『私』とミクが出会ったのは、約4年前。
あの頃は確か、小学生の頃だった。
まだ中身も外見も子供だった『私』には『初音ミク』はただの機械だと思っていた。
歌を歌ってくれるだけの…機械だと。
あの時は何もわからなかった。
使い方もわからない、音楽だって初心者以下。
『初音ミク』と『私』には壁があった。
『機械』と『人間』という壁だ。
お姉ちゃんがくれただけで何も理解できない。
でも、少しずつ『初音ミク』と『私』の壁は少しずつ壊れていった。
『初音ミク』は、『私』のミクとなった。
なんでも歌ってくれる可愛い声の『私』だけの歌姫だった。
ミクは優しい声でいつも楽しそうに歌ってくれる。
『私』の下手くそな曲でも、リズムでも、音程でも。
楽しかった。あの頃はミクだけが1番だった。
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作者名:テア | 作成日時:2022年6月24日 18時