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10ー1 ページ15

「Aって音楽好きだったわよね」
 
「…うん、それが何?」
 
「ついさっき買い物中にコレを見つけたのよ
 
『VOCALOID』っていう歌を歌ってくれるもの」
 
「…へぇ、これは………初音ミク、か」
 
「そうなの
初音ミクって最近よく聞くじゃない?
Aにあげようと思って!」
 
「お姉ちゃん…コレ高かったんじゃ…」
 
「ふふ、大丈夫よ
今日給料日だから!」
 
「1日目にしてお金が……って…2万円?!」
 
「このバージョンが使いやすいってネットに書いてあったのよ〜」
 
「お姉ちゃん!?
誕生日プレゼントでもないんだから!
本当にどういうつもり?!」
 
『私』とミクが出会ったのは、約4年前。
あの頃は確か、小学生の頃だった。
まだ中身も外見も子供だった『私』には『初音ミク』はただの機械だと思っていた。
歌を歌ってくれるだけの…機械だと。
 
あの時は何もわからなかった。
使い方もわからない、音楽だって初心者以下。
 
『初音ミク』と『私』には壁があった。
『機械』と『人間』という壁だ。
 
お姉ちゃんがくれただけで何も理解できない。
 
でも、少しずつ『初音ミク』と『私』の壁は少しずつ壊れていった。
 
『初音ミク』は、『私』のミクとなった。
なんでも歌ってくれる可愛い声の『私』だけの歌姫だった。
 
ミクは優しい声でいつも楽しそうに歌ってくれる。
『私』の下手くそな曲でも、リズムでも、音程でも。
 
楽しかった。あの頃はミクだけが1番だった。

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設定タグ:プロセカ , 初音ミク , 百合   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:テア | 作成日時:2022年6月24日 18時

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