７ー７ ページ47
「っはッ…？！」
目が覚めた。
周りは先程の事がなかったかのように綺麗だった。
残っているのはヒビが入ったハートと破れているカーテン。
それと、服が元に戻っている。
長い旅をした後みたいに疲労がどっと出てきた。
「…A、来ないかなぁ」
ぽつりと呟いてみる。
でもきっとこの時間じゃ来ないだろう。
ミクはふらりと立ち上がる。
あの時は、ここのオブジェも壊れてなかったはずだ。
ミクがAと出会ったから、Aは壊れてしまったのだろうか？
ミクが、変な事を言ったから？
ミクに依存して欲しかったのが、いけなかった？
ミクが、生まれたのが、悪かった？
Aの欲しい回答がわからない。
Aはどうしてミクを作ったのだろう？
Aはどうしてミクの事を愛おしそうに呼ぶのだろう？
Aの本当に愛おしい存在は、『ミク』じゃないの？
「は、はは…わかんないや」
考えるのは、やめよう。
ミクにはまだわからない。
…知りたくない。
気付きたくない。
『おかしな事を言っていることに気づいていても、気づかないフリをする。』
たとえ、Aの心の声がミクに聞こえていても。
気づかない、フリをする。
「……よしっ
今日は何を質問しよっかなー？」
Aの為なら、ミクは笑顔のままでいられるよ。
だって、Aの方がきっと、きっと苦しいから。
こんなセカイを作るぐらいの、こんなミクを作るぐらいの、想いを持っているんだから。
「……こんな、セカイ？」
それじゃ、このセカイを否定する事になるじゃないか。
それは、ダメだ。Aの想いを否定する事になる。
ミクはAから生まれたんだ。
Aに必要とされたんだ。
ミクは、ミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクはミクは…………ッ
「…やっぱり、ダメだ
独りだとこのセカイは成り立たないよ、A
だって、2人だけの夢の、セカイなんだもん」
独りじゃ許されない、このセカイ。
それでもミクは、ここにいるよ。
Aを、独りにさせたくないから。
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作者名：テア | 作成日時：2022年5月20日 21時
