６ー３ ページ39
「でもね、A
本当に心配してたのよ？
…セカイに行ってるだなんて全く思わなかったけれど」
「う…」
さっきの事を許してはいないかのように圧をかけてくるお姉ちゃん。
一応セカイでの話を『良い感じ』に話した。
吐き気に襲われる前のことはほぼ話していない。
話を聞いている途中で全く質問とかはしてこなかったし、深入りもしてこなかった。
でも、本当に心配してくれたんだろうな。嬉しい。
お姉ちゃんはいつも心配してくれるからなあ。
そろそろ心配されないようにしなきゃ。
「そもそも帰り道に吐き気に襲われたのなら何で私に連絡しなかったの？」
「………ミクと、約束をしたから…？」
「質問を疑問形で返すのはやめなさい」
「…ミクと約束したから、です」
「ま、そうよね
家に帰るよりも手っ取り早いし、何よりミクちゃんがAの癒しだもの」
私はハンバーグを食べながらコクコクうなづいた。
間違ってない、お姉ちゃんの言う通りだ。
図星だった、割と本当に。
「…ごめんなさい」
「いいのよ、今後ちゃんと連絡をくれたら」
「します…」
「聞いたからね？」
「頑張る…」
時計を見ると今は10時前だ。
高校生だし寝るのは12時を過ぎたって大丈夫だろう。
いつもそうだったし。
「…セカイに行ったところをクラスメイトの人達には見られてない？」
「多分、ね」
「急に目の前から人が消えたら失神しちゃうもの」
「ですよねぇ」
「それよりもAっ
ご飯食べたならさっさとお風呂に入って寝なさい！」
「はーい」
お姉ちゃんは食べ終わったお皿を片付ける。
そして私はお姉ちゃんに「ありがと」と言って風呂場へ向かったのだった。
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作者名：テア | 作成日時：2022年5月20日 21時
