検索窓
今日:33 hit、昨日:1 hit、合計:14,133 hit

6ー2 ページ38

「うっ、えと、あーそのー…」
 
お姉ちゃんから心配という感情が消えたような気がした。
セカイ、というワードを聞いてから。
案の定いつもの可愛らしいおちゃらけたお姉ちゃんではなくなっていた。
 
まるで鬼、とでもいうような。
 
お姉ちゃん…は機嫌が悪そうに溜息をついた。
 
「なあ、A………
『俺』が心配してたっつーのに…ミクちゃんと遊んでたのか?」
 
「あぅ…すみませ………」
 
「おーまーえーなー!!
心配して損しただろーが!!!
どうせイチャイチャキャッキャウフフしてたんだろうが!!!」
 
「ぅ…」
 
「は?マジで?図星?
クソうざいんだけど
お前今日飯無しな
絶対許さねえからな、覚えとけよ???」
 
完全にキレてる。
ブチギレてる。
 
「や、やだ………」
 
「は?…………………まあいいわ、次からは連絡してね?」
 
「ヒュッ」
 
「あ?何か文句あんのか?」
 
「ありません…お姉様…」
 
ニコニコと笑うお姉ちゃん。
…いや、ニタニタ笑う『お兄ちゃん』がそこにいた。
 
「A???」
 
「ヒィ」
 
「俺を怒らせるなよ
…やっぱりAの分のハンバーグは私のものね!」
 
「ごめんなさいごめんなさい」
 
「許すわけないでしょ?
しょうがないわね、冷凍ハンバーグならあげるわよ?」
 
「手作りが良い…」
 
「怒られてるって自覚あるの?
……まあ、きちんと帰ってきたから許してあげるわ
次からは連絡を入れなさいよ…次は許さないからね」
 
「う…はい…」
 
いつも通りのお姉ちゃんに戻った。
 
(はあ…怒らせるといつもアレになるから怖い)

別に、人格が2つもあるのが嫌って言ってるわけじゃない。
…毎日演じているお姉ちゃんを見てるから、元に戻った時の姿に驚くだけ。
 
お姉ちゃん…………いや、『お兄ちゃん』は可哀想だ。
背が低くて声も高くて、まるで女。
そのせいか、周りにも虐められて、酷い事をされて。
…そこで吹っ切れたらしい、お兄ちゃんは女のフリをし始めた。
 
大学を卒業してからは、私の持っている服を借りたりして過ごしていた。
髪も始めはウィッグだった。
今は自分で可愛い服を買って、髪は地毛のセミロングだけれど。
 
お兄ちゃん自身は今の生活に満足している。
私だって不満はない、むしろ楽しめているのなら問題はないだろう。
 
…演じるコトは私達兄妹にとって簡単なコトで、当たり前なのだから。

6ー3→←6ー1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
設定タグ:プロセカ , 初音ミク , 百合   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:テア | 作成日時:2022年5月20日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。