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「……ぇ…え…ねえ！
A！起きなさい！」
「おえっ！？
……ぉ、お姉ちゃん！？何してるの！？」
バシッと背中が殴られたような感覚がし、すぐに目が覚めた。
この家には私とお姉ちゃんしかいない。
したがって、いつも私を起こしてくれるのはお姉ちゃんだけだ。
「もう、A！
ミクちゃんの事が好きなのはいいの！
ただね、夜更かしはダメ！」
「えぇ…だって…」
むくりと体を起こし、お姉ちゃんを見る。
私はベッドではなく椅子に座ったまま寝てしまったらしい。
私はじっとパソコンを見つめる。
その様子からお姉ちゃんは何かを察したかのように私に話しかけた。
「…………また夢を見たの？」
「うん
今回のはまたズバッと言われたよ」
「untitled…の事？」
「うん」
お姉ちゃんは私のスマホに入っているuntitledのことを知っている。
きっとこれを流せばミクの元に行ける。
…私の勝手な思い込みだけれども。
「…でも、本当のミクの想いを聞けたら……
興味はあるけど、少し怖い」
「…私はAが苦しむこんなセカイなんかより…
ミクちゃんの元の方がいいと思うけどね」
「…お姉ちゃんはいつも私を守ってくれるよね
ありがとう
でも、だからといってお姉ちゃんを放っては行かないよ」
「…我儘でもいいと思うわ、私は」
「………それじゃダメなの
私は…誰にも頼らないって決めたんだよ
頼ってばっかの私はきっと嫌われる
ねえ、お姉ちゃんだって
頼られるばかりじゃ嫌でしょ……？」
「…私はAが苦しむ方がもっと嫌よ
それならもういっそ、こっちに居なくていいんじゃないかしら」
「…お姉ちゃん…」
「ま、今日は休みだから
気分転換にどこか行かない？」
「……うん」
お姉ちゃんはふわりと笑って私の頭を撫でる。
(………まあ)
「お姉ちゃん、背がすっごく低いから
座ってる時にしかしてくれないけど」
「こらっ！
私にはそれは厳禁って言ってるじゃないの！」
「す、すみませーん」
お姉ちゃんはぷんぷん怒って部屋を出て行った。
お姉ちゃんって、私と似てる。
失礼かもしれないけどそう思った。
何かを隠し通そうとするところ。
お姉ちゃんもこのセカイから逃げ出したいということ。
私たちは似ている。
似ている同士だから、普通に過ごせてる。
だからこそわかる。
お姉ちゃんにとっての幸せも、
私にとっての幸せも。
ずっと、昔から。
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作者名：テア | 作成日時：2022年5月20日 21時
