２ー３ ページ12
「…A〜」
「…なあに、ミク」
「ミクってAの事『マスター』って呼んだ方がいいのかな？」
「…うーん………」
さっきまでの騒動(?)がなかったかのように私たちはセカイの椅子に座って話している。
なんとなくここが心地が良い。
部屋の天井には大きなガラスのハートの飾りが吊るされている。
その周りはレースや半透明のカーテンらしきものが床に垂れている。
綺麗なようでガラスには亀裂が入っていたり、
カーテンは破れている部分があったりする。
私の想いだから、こうなっているのかと自己解決していた。
「…A？」
「…んーと、じゃあ、ミクはどっちで呼びたい？」
「ミク…は…
…………Aって呼びたい」
「おー、そっか」
「いい…のかな？」
「勿論」
「ふふっありがとう」
ミクは可愛らしい声で笑う。
…ミクはなんでこのセカイを作ったのだろう。
なんで私はこのセカイに連れてこられたんだろう。
なんでこのセカイに入れたんだろう。
私の想いって？
私のセカイって？
まず、こんなセカイがある事がおかしい。
もしかしたら、これも夢の続きかもしれない。
(そうしたら、笑えるな)
「…A？
どうしたの？」
「ううん、何にもない……ちょっと考え事」
「…辛かったら言ってね
撫で撫でしてあげる！」
「ありがとう、でもいいや」
「そっか、わかった」
「それじゃ、そろそろ帰るね」
「わかった
じゃあ、またね」
「…………うん
…えーっと、untitled止めたらいいんだよね…」
untitledを止めようとした時、背中に温かい感触がした。
「…み、ミク…？」
私は後ろを振り向く。
今にも泣きそうな顔のミクがそこにはいた。
「…A………
また、来てくれるよね？
ミク、ちゃんと返事が欲しい」
私の背中にピッタリくっつくミク。
声が少し震えていた。
…これも，私が望んだミクなのかな。
ずっといたいっていう想いからなのかな。
元のセカイにいたくないっていう想いからなのかな。
ミクが私を離さないのは、私が願っているからなのだろうか。
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作者名：テア | 作成日時：2022年5月20日 21時
