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side_Hokuto




朝飯を食べ終わると慎太郎はそそくさと

荷物をまとめ、俺の腕をひいて宿を飛び出した。


行き先も告げられず、

俺はとりあえず慎太郎と一緒に馬車に揺られる。


「ねぇ慎太郎」


「んー?」


「どこ行くの?」


「まぁまぁ」


いくら聞いてもこの調子だから、

俺はもう諦めて窓の外の景色に集中した。


かなり町から離れ、

辺りは徐々に自然が目立つようになる。


それは森の中での生活を思い出させ…


「…あっ!!!」


「な、なに?!」


「わかった!」


俺は慎太郎の両肩を掴み、大きく立ち上がった。


その途端、思っていたよりも低かった天井に頭を

盛大にぶつけ、鈍い音が車内に響く。


「いったぁ…」


「北斗?!大丈夫?」


でも俺には痛みなんか気にする暇はなくて、

再び慎太郎の肩をがっしり掴んだ。


「俺を帰す気?!」


「…は?」


「俺を森に帰す気なんでしょ?!」


「はい?」


「絶対そうだ…本当は昨日みたいなこと嫌で……」


「ちょっと待って北斗」


「ごめん慎太郎!

もう…もうしないから!だからっ」


「捨てないで」と、

言おうとした俺の唇を慎太郎の唇が塞いだ。


不意打ち過ぎるキスに、

俺の頭は即座に真っ白になる。


「落ち着いて北斗」


慎太郎は唇を離すと、

呆れた笑い声を漏らしながらそう言った。


「…ほら、外見てみて」


慎太郎に促され、外に目をやると、

そこにある景色に目を見張った。


「これ…」


「海だよ」


見渡す限りいっぱいに広がる海は、

俺が思っていた海より何倍も、何倍も美しかった。




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ま り ゅ 。(プロフ) - 会場にいました !! 面白かったです 、次回作もとても楽しみにしております ^ ^ (2019年5月3日 21時) (レス) id: 175c974560 (このIDを非表示/違反報告)
りほ(プロフ) - HARUTOを感じさせるところがたくさんあり、とても面白かったです!お疲れ様でした! (2019年5月2日 21時) (レス) id: 8fe4720d0e (このIDを非表示/違反報告)
あいたん(プロフ) - お疲れ様でした!とても楽しかったです。実は私も大阪でズドンしてました笑この作品の世界観がとても好きで、毎回更新を楽しみにしてました!次の作品も楽しみにしてます! (2019年5月2日 18時) (レス) id: 634aec9d51 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり。(プロフ) - いつも更新お疲れさまでした!こういう雰囲気の小説初めて読んだんですが見事にハマりました!私の好きなCPが両方入ってて更新される度に見るのが楽しみでした!次回の作品も楽しみに待ってます! (2019年5月2日 11時) (レス) id: 9dc82746ac (このIDを非表示/違反報告)
紅の三角#苺日和 - お疲れ様でした!!毎日の楽しみになっていた月華。前作から読んでいて、さいかさんの書き方そのままうつしたいぐらい好き…次作楽しみに待ってます♪ (2019年5月1日 23時) (レス) id: ccec864579 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さいか | 作成日時:2019年3月17日 18時

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