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side_Hokuto




けもの道を抜けると、人が通れるほどの道が現れ、

そこを進むと小さな村にたどり着く。


俺の姿を見ると、

村の人の目がわかりやすく鋭くなる。


森に住む得体の知れない男を気持ち悪がる気持ちも

わからないこともない。


この鋭い視線にもすっかり慣たが、

それでもつい俺はフードを深くかぶり直す。


そして、いつものように足早に

食料を求めて村に踏み込む。


「あの、すみません」


「……えっ」


これは、いつもと違った。


初めて、この村で声をかけられた。


驚きと、戸惑いで目を見開き、

俺は目の前に立つ人物を見上げた。


そこに立っていたのは、男前な青年。


目が合った瞬間、

心臓が飛び跳ねるほどの衝撃が全身に走った。


それほど、俺は大我以外の人間と…いや、

大我も人間ではないから、俺は久しぶりに

人間とまともに向き合った。


「…俺の顔、何かついてますか?」


「あっ、いやその…すみません」


「いえ、こちらこそ急に話しかけてすみません」


そう言うと青年はニカッと笑った。


「…いえ」


「道聞いてもいいですか?」


「道?」


「俺、今日からこの辺りの宿でしばらく

寝泊まりするんですけど…

食べ物買える店とかあります?」


青年はコロッと表情が変わり、

今は本当に困った顔をしている。


「えっと、この道を進んで、

少ししたら右に曲がって、それで次に…」


俺の必死な説明も虚しく、

青年はポカーンとして思考が停止しているようだ。


「…あ、あの。

俺も今からそこに行くので…ついてきますか?」


「え、いいんすか!」


「…説明するより楽なんで」


「ありがとうございます!」


面倒だなと思いながらも、何故か放っておくことが

できず、俺は柄じゃない親切をしてしまった。




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ま り ゅ 。(プロフ) - 会場にいました !! 面白かったです 、次回作もとても楽しみにしております ^ ^ (2019年5月3日 21時) (レス) id: 175c974560 (このIDを非表示/違反報告)
りほ(プロフ) - HARUTOを感じさせるところがたくさんあり、とても面白かったです!お疲れ様でした! (2019年5月2日 21時) (レス) id: 8fe4720d0e (このIDを非表示/違反報告)
あいたん(プロフ) - お疲れ様でした!とても楽しかったです。実は私も大阪でズドンしてました笑この作品の世界観がとても好きで、毎回更新を楽しみにしてました!次の作品も楽しみにしてます! (2019年5月2日 18時) (レス) id: 634aec9d51 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり。(プロフ) - いつも更新お疲れさまでした!こういう雰囲気の小説初めて読んだんですが見事にハマりました!私の好きなCPが両方入ってて更新される度に見るのが楽しみでした!次回の作品も楽しみに待ってます! (2019年5月2日 11時) (レス) id: 9dc82746ac (このIDを非表示/違反報告)
紅の三角#苺日和 - お疲れ様でした!!毎日の楽しみになっていた月華。前作から読んでいて、さいかさんの書き方そのままうつしたいぐらい好き…次作楽しみに待ってます♪ (2019年5月1日 23時) (レス) id: ccec864579 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さいか | 作成日時:2019年3月17日 18時

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