見届けるから。 ページ44
綺麗な花束の中に一輪だけカーネーションを入れてくれたのは伊沢くん発案。
私より私の両親のこと想ってくれているんだと謎に感心する。
「Aさんのお父さん、お母さん。お久しぶりです、伊沢拓司です。今日お伺いしたのには報告があります」
「そんな硬い表情しなくても」
「Aさんは静かに。これは俺にとって第一歩なんだから」
伊沢くんは両親に話しかける。
ちゃんと私との関係を認めてもらうように。
「Aさんを産んでくれて、育ててくれて私と出逢わせてくれてありがとうございます。Aさんのこと、心配でしょうが安心してください。私がAさんを守ります、ずっと隣に居て離しません。
なので、私とAさんの関係を天国から見守っていてください」
「伊沢くん……」
「Aさん…Aさんはもう独りなんかじゃないよ。俺が隣にいるから。どんなに歳をとってもAさんに淋しい思いは2度とさせないから…」
抱き締められる。
隣にいる事を実感させられる。
涙が出てくる。
もう涙腺、弱ってきてるのかもしれないな。
「い…じゃなくて、拓司くん…私、もう独りは嫌だよ…?先にどっかに行ったりしない…?」
「しない。Aさんが先に逝くのを俺が見届けるから、だから淋しい想いはもうしなくていいんだよ」
「何それ、まるでプロポーズみたいじゃん…」
「Aさんがいなくなったら俺も多分淋しくて生きられない。でも、今約束したから。Aさんを見届けるまで隣で笑ってるから、俺は」
「拓司くん……ありがとう、大好き…」
「それは弟として?」
「バカ。そんなことも教えないと分からんのか君は」
「分かってるよ、Aさんからは色々教わってきたもんな」
「ホント。色々教えたわー」
「スパルタだったけどな」
「親の前で暴露すな、拓司!」
私は伊沢くんと出逢えて良かった。
一緒に暮らせて良かった。
私をこんなに大事に想ってくれて嬉しい。
私は社長の育てかたを間違ってはいないみたいだった。
ー 私は社長の育てかたを間違ってしまったらしい 完結 ー
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作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月7日 10時